投資信託の歴史は意外なほど浅かった。近年急成長している要因

投資嫌いかと思われてきた日本人も徐々に投資を始める人が多くなっています。意外なことにアメリカ人も以前はそうでした。
何が変化をもたらしたのでしょうか?
投資信託の起源
近年、投資信託がようやく市民権を得て、残高が爆増しています。投資信託という仕組み。単純なようで歴史は古いかと思いきや案外歴史は浅かったのです。
投資信託の起源はいつであるのか?
2つの説がありますが、19世紀後半にイギリスで誕生したという説が有力です。
その後、投資信託はアメリカやアジアに広がっていきました。とりわけ発展したのはアメリカにおいてです。
アメリカでの発展
1920年代に投資信託はイギリスからアメリカへの持ち込まれ大発展をとげます。
第一次世界大戦の痛手を被らなかったアメリカは資本蓄積が進み、投資信託にお金が流れ込んだのでした。
しかし、当時の投資信託は超ハイリスクハイリターンで洗練されたものとは言い難いものだったのです。
かなりレバレッジをかけた運用を行っていたため、株価以上に値上がりする一方で、値下がりもひどかった。
そして、1929年の世界恐慌を迎えたのですからたまりません。投資信託への投資者は株式へ投資していた投資者以上の損失を被る羽目になりました。
第二次世界大戦後の再発展
上記のような痛手に学び、第二次大戦後はより洗練された仕組みの投資信託が登場し、再び発展を遂げます。
アメリカにおける投資信託の発展にはいくつかの要因と幸運が重なっているようです。
(要因1)株価の長期的上昇
アメリカの株価は長期にわたって好調を続けています。それが投資信託への資金流入を加速しています。
以下はアメリカ株の推移です。

(要因2)戦争の被害が相対的に小さく飛びぬけた経済力を持ったこと
第二次大戦で勝利を収めたアメリカはやはりヨーロッパに比べれば相対的に被害は小さく、その後大きな経済発展を遂げることができました。
家計貯蓄も順調に増えたことから投資信託へ資金を振り向ける余裕もあったのです。
(要因3)MMFの登場
MMFとはマネーマーケットファンドの略です。MMFは短期の金融資産で運用し、比較的安全に高利回りを確保できたことから、銀行の預金から資金を奪い取ることに成功しました。
それまでは投資のための待機資金を証券会社に置くことはできませんでしたが、MMFの登場で証券会社の預かり資産が増え、様々な種類の投資信託へ振り向けるためのベースマネーとなりました。
(要因4)401Kの登場
1980年代に401Kと呼ばれる確定拠出年金制度がスタートし、その資産運用先として投資信託に多くの資金が流入しました。
これによって、株価が上がる、だから資金が流入するといった好循環が今も続いています。
(要因5)販売チャネルの増加と低コスト化
1990年代後半からのインターネットの爆発的普及により、従来の対面販売に加え、ネット販売という強力な販売チャネルが加わりました。
またネット販売では人手を介さないため、低コスト化が進み、ますますパフォーマンスが良くなるという循環が回っています。
世界で同じ流れが起きている
アメリカで起こったことが今、世界で起きつつあります。
1997年、世界の投資信託の残高は約7.2兆ドルでしたが、20年後の2017年には約45兆ドルにまで増加しました。
日本もまた例外ではありません。その背景にはつみたてNISAやイデコなど、若い投資家を呼び込む積立型の投資がすそ野を広げていることがあります。
アメリカの後追いをすると考えれば、日本の株価の大暴落の可能性は低くなっていると考えられます。
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