Jリートが2021年前半に値上がりした理由と今後厳しい理由

ビル

2021年前半戦のJリートは好調でした。2020年末からの上昇率は20%以上に上り、日経平均株価の6%高を大きくしのぐ値上がりを見せたのです。

しかし、昨今のJリートの上昇には特殊要因があり、今後はその要因が消失するため、2021年後半のJリート相場は厳しいものとなりそうです。





2021年前半のJリート好調要因


2021年前半にJリートの値上がりを牽引したのは海外の投資家です。なぜ海外の投資家がJリートを大量に買ったかといえば、海外の有力な株価指数であるFTSEグローバル株式指数(※)が2020年9月からJリートの組み入れを開始したからです。

FTSEグローバル株式指数は世界中の機関投資家がベンチマークとする指数であり、その影響は大きい。

FTSEグローバル株式指数をベンチマークとしてパッシブ運用をしている機関投資家も追随買いを入れてきました。

(※)FTSEグローバル株式指数
ロンドン証券取引所が100%出資するFTSEラッセル社が提供する、世界の株式市場のグローバルベンチマーク指数。株式投資のパフォーマンス評価基準として、世界47市場、3000銘柄超で構成されている。


指数買いのインパクト


FTSEグローバル株式指数は3か月おきに4回、Jリートを買ってきました。その規模は一回あたり700億円といわれています。

銘柄数も少ないJリート市場でこれだけの金額が買いに入るインパクトは大きい。Jリートの一日あたりの売買代金は500億円前後なのですから。

またFTSEグローバル株式指数のJリート買いを見込んだ先回り買いもJリート市場の上昇に拍車をかけてきたのです。

その一方で売ってきたのは日本の金融機関と個人投資家という構図となっています。

潮目は変わる


しかし、今後のJリート市場は厳しいといわざるを得ない。

なぜならFTSEグローバル株式指数へのJリート組み入れが6月18日で完了したからです。

今後は買い手が減少し、需給関係が悪化すると考えられます。

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逆風はそれだけではない


2021年6月16日のFOMCでFRBがゼロ金利政策を前倒しで解除する方針を示したこともJリートにとって逆風となります。

アメリカの10年もの国債の利回りは2020年夏ごろには0.5%強でしたが、最近は1.5%弱にまで上昇してきました。日本も微々たるものとはいえ、マイナス金利は見られなくなっています。

リスクフリーの金利が上昇すれば相対的にリートの魅力が下がります。

また、リートは資金を借り入れて不動産に投資しているため、金利の上昇は収益の悪化に直結します。LTVが高い銘柄ほど敬遠される傾向になると推測できます。

最後に


Jリートの平均分配金利回りは3.4%程度。この程度の利回りでは魅力に欠けるといわざるを得ません。

積極的な買い手が不在となる中、今後しばらくJリート市場は調整を深めていくことになりそうな気配です。

休むも相場。

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