マイナンバーが勝手に証券会社へ渡る。1984の世界へ近づく

中国ほどの人道無視の監視社会ではないとはいえ、日本にもジョージ・オーウェルの1984の世界が少しずつ近づきつつあるようです。
金融の世界ではマイナンバーが本人のあずかり知らぬところで証券会社の手にわたる仕組みが出来上がりました。
このことを知っている人はまだまだ少ないのではないでしょうか。
マイナンバーの収集、遅々として進まず
新規で証券会社に口座を開設しようとすればマイナンバーが必要になるのはご存じのとおりです。
しかし、マイナンバー制度が始まる前に口座を開設した人のマイナンバー取得は思うように進まず(半分程度)、当初期限の2018年末から2021年末へと3年延長されたのでした。
そもそも、面倒くさがり屋もいれば、提出したかどうかも記憶から消え去ってしまった人もいるでしょう。また出すのを渋る人もいるはずです。
もはや任意提出で期限までにすべてのマイナンバーが収集できるとは思えない状況だったのです。(現状でも7割程度)
マイナンバー取得の切り札
政府は業を煮やしたか、制度改正により証券会社がマイナンバーを第三者から提供を受けるスキームを考えました。
証券会社は、保管振替機構(ほふり)を介してマイナンバーを取得できるようになりました。
とはいえ、ほふりが国民すべてのマイナンバーを保有しているはずがない。
証券会社から要請を受けたほふりがさらに地方公共団体情報システム機構に依頼し、該当者のマイナンバーの提供を受け、証券会社に伝えるという仕組みとなっています。
そこまでしてマイナンバーを集める目的は・・・
政府が証券口座とマイナンバーとの紐付けを強制する理由はやはり税金。
源泉徴収なしの特定口座や一般口座で発生した利益がきちんと確定申告され納税されているかを簡単に調べることができるようにすることが目的です。
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次のターゲットは預貯金口座?
その点、預貯金口座は金融機関が税金を源泉徴収して納付するため、現状マイナンバーとの紐付けは義務ではありません。
もっとも証券口座に比べて口座数がとてつもなく多いため(8億口座弱)、マイナンバーを登録する手間が大きすぎるという物理的問題が大きい。
証券口座は3千万口座弱程度であるためなんとかなるし、税金取り立てのメリットを考えれば、やる意義が大きいといったところなのでしょう。
最後に
とはいえ、今後の相続の増加を考えれば次は預貯金口座とマイナンバーとの紐付けが始まるのは時間の問題だと思われます。
個人の金融資産は丸裸にされ、下手な税金逃れはあっさりと見破られることになりそうです。
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