ゾンビの如く蘇る毎月分配型の投資信託

10年ほど前まで、投資信託といえば毎月分配型の投資信託が主流でした。なんと資産額ベースで7割以上が毎月分配型の投資信託だったのです。
国内金利が低い中、海外の債券やリートの利子、分配金を毎月払い出していく毎月分配型の投資信託が主役になるなど異常としか思えない光景でした。
そして再びその光景が蘇りつつあります。
毎月分配型投資の凋落
ここ最近は毎月分配型の投資信託は長期の資産形成には向かない、収益以上に分配金を出しているなどといった批判もあり、すっかり落ちぶれて現状のシェアは2割台にまで下がりました。
以下は毎月決算型の投資信託の設定、解約、純資産総額の推移です。

(投資信託協会のデータを元に作成)
確実に右肩下がりとなっていることがわかります。
しかし最近、新たな手法で再び毎月分配型の投資信託が売れ出しているのです。まるでゾンビのように・・・。
毎月分配型投信が蘇る
コロナ禍の影響もあるのでしょうか。定期的に分配金を受け取る毎月分配型の投資信託の販売がにわかに増えています。
ただし、これまでの投資信託とは若干仕組みを変えています。
予想分配金提示型といわれる投資信託です。
予想分配金提示型の投資信託とは
いったいどういう仕組みなのかといえば、投資信託の基準価額の水準によって分配金が決まるというもの。
例えば毎月の決算期直前の基準価額が1万3千円台だと300円、1万2千円台だと200円といった具合です。
また、決定的に従来型の毎月分配型投資信託と違うのは運用対象が株式であることです。
要するに株式の値上がり益を分配に回しているというわけであり、当然値下がりして基準価額が1万円を割り込めば分配金はなしといった事態も想定されるわけです。
2021年5月の売れ筋投資信託を見ると資金流入額上位10本のうち3本が予想分配金提示型の投資信託となっています。
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前回の轍は踏まないという作戦
株式で運用する以上、かつての債券やリートでの運用に比べて値動きが激しい分、分配金の振れ幅も大きくなることは確実です。
無茶な分配で基準価額がひたすら下がり続けるといった過去の大失敗から学び、基準価額によって分配金が変わることをあらかじめ提示していると考えられます。
巧妙な仕掛けで個人投資家を欺き続けた運用会社と販売会社が前回の轍は踏まないとばかりに考え出した仕組みですが、基準価額の値下がりにより分配がなされないという結末が待っていると考えるのはいささか意地悪というものでしょうか。
投資家にとってはボッタクリ商品
仕組みが複雑な分、信託報酬は高くなっているのが一般的です。
アクティブ型の予想分配金提示型の投資信託では年率2%近いものもあり、まともな投資家であれば買う気を無くすほどのコスト高です。
結論
販売会社の意向に沿った形でこんな商品を開発する運用会社はグルになって個人投資家を欺いているとしか思えない。
顧客本位の業務運営などともっともらしいことを宣言している金融機関が多い中ではありますが、その実やっていることは有言不実行といわざるを得ません。
こんな商品を安易に購入するのは愚の骨頂だといえるでしょう。
【関連記事】
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