新興株市場不調。そこには特殊要因も・・・

日経平均の上値が重い。そしてそれ以上に不調なのが新興株市場です。
そこには市場要因だけではない制度要因が含まれています。それは株主目線ではない会社の都合ともいえるものです。
東証マザーズの動きが興味深い
新興株といえば東証マザーズ市場が代表的でしょう。
そしてマザース市場の低調ぶりを如実に表しているのが下のグラフです。

昨年秋から日経平均は爆上げしましたが、マザーズはほとんど横ばいです。
そして最近は上がらなかったにもかかわらず、日経平均同様に下落基調であることがわかります。
NM倍率はどうか
日経平均を東証マザーズ指数で割ったNM倍率の動きは以下のとおりです。

極端な割安感とはいえないまでも、マザーズに割安感が出てきていることは間違いなさそうです。
一般論としてのマザーズ不調要因
さて、いったいなぜマザース市場は不調に陥っているのでしょうか。
一般論としていえるのは以下のようなものだろうと思います。
・日銀のETF買いがない
・出来高が減っている中で流動性が低いために敬遠されている
・大型株に比べて一方的な動きとなりやすい
・個人投資家主導の市場であり、個人投資家の元気がない
・出来高が減っている中で流動性が低いために敬遠されている
・大型株に比べて一方的な動きとなりやすい
・個人投資家主導の市場であり、個人投資家の元気がない
といったところでしょうか。
しかし、このようなマーケット要因だけではない構造的な要因が背後には隠れているようです。
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新興株不振の背景
その要因となっているのが東証の市場改革です。
東証の市場区分は以下のように変更され、プライム市場がもっとも権威ある区分となります。

プライム市場に入るには実際が売買が可能となる流通株の時価総額で100億円以上、そしてその比率を35%以上にする必要があります。
そして新興市場に上場している会社がプライム市場に格上げするために、公募増資あるいは大口株主からの売り出しが増えていたのです。
増資をすれば発行済株式数が増加して1株当たりの利益が減る可能性が高く、株価下落圧力が高まる傾向があります。
有望な投資案件があるわけでもないのに、公募増資などをしたら既存株主にとっては迷惑極まりない。
また売出しによって浮動株が増えれば希少価値が下がりますから、これまた株価下落圧力が高まったというわけです。
今後の動き
東証は2021年6月末に流通株の割合等を計算して、2021年7月に東証1部企業にプライム市場に該当する企業であるかどうか通知することになっています。
ということは7月以降は新興株式市場も落ち着きを取り戻す可能性が高いとみます。
プライム狙いの公募増資や売出しに歯止めがかかると思われるからです。
最後に
2021年後半は大型株が崩れ、新興株が好調になるのではないかというのが希望的観測を含めた個人的見方です。
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