テーマ型投信の跋扈はバブル崩壊前のシナリオ営業を連想させる

国によって人気のあるテーマが多少異なるとはいえ、世界的にテーマ型の投資信託の売れ行きが絶好調です。
しかし、世相を反映したテーマ型投信の隆盛はバブル崩壊前のシナリオ営業を彷彿とさせ、今後の株価動向にいささか不安を感じさせるものがあります。
悪魔のささやき、シナリオ営業
バブル期の1980年代後半、大手証券会社はテーマ型投信同様、ある種のテーマをもとに将来の社会のシナリオを描き、そのシナリオに乗った株式を大量に推奨販売するという手法で株価を吊り上げていきました。
洗脳セールスともいえる手法で特定の銘柄を一斉に推奨するのですから株価形成が歪むのは当たり前というものです。
こういった営業手法は問題であるとして、特定かつ少数の銘柄を多数の顧客に対して一斉かつ過度に勧誘することは禁止されることになりました。
いわゆる大量推奨販売の禁止です。
テーマ型投信の最近の動向
昨今の世界の潮流から、人気があるのは、「クリーンエネルギー」や「デジタルトランスフォーメーション」「AI」「ESG」などといったキーワードです。
このような業態に特化した投資信託を立ち上げて集中的に資金を集めているのが現状の実態です。
世界のテーマ型投信の残高は2021年中盤で約65兆円にまで膨らんでおり、ここ1年半で約2.5倍にまで増加しています。
コロナ禍の下での株価上昇要因の一つはテーマ型投信によるものといえます。
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ITバブル期にも同様の動きが
思い起こされるのは1999年から2001年にかけてのITバブルです。
ITバブル当時もITをテーマとした投資信託が人気を博し資金を集めましたが、バブル崩壊とともに散っていきました。
ITバブル期に設定されたインターネット関連の投資信託は約50本ほどですが、今も残っているのはその1割です。
象徴的なのがソフトバンクの株価の動き。

ソフトバンク株は20年たってもITバブルの天井に追い付いていません。
テーマ型シナリオ投資の末路
結局のところ、流行というものは去るものです。
となれば行き過ぎたところでいち早く逃げた人が勝ち馬となります。のんびり構えていたら中州に取り残されるかのごとき状態となり、下手すれば10年単位で立ち直れなくなる可能性もあります。
テーマ型投信が売られ始めたとき、株価は天井をつけたと見ることができそうです。
ITバブル崩壊前、日経平均は2万円台でしたが、その後7千円台まで下落したのですから警戒しておくに越したことはないと考えるのです。

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