イデコ、つみたてNISAという長期にわたる円安圧力

2021年に入り、それまでの円高傾向が一転、円安へと転じています。
年初には103円程度だったのに110円前後まで円安が進みました。これにはいくつか要因がありますが、日本人の海外への投資が広がっていることもその一因となっています。
2021年円安への旅
中国、武漢での新型コロナウイルス騒動発生後、2020年はひたすら円高への流れが続きました。
日本は欧米諸国に比べて圧倒的に被害が小さかったこと、欧米諸国も異次元金融緩和に踏み切り、金利差が無くなったことが主たる要因であったと考えられます。
しかし、2021年に入ってこの流れは一転しました。それは以下のチャートを見れば明らかです。

2021年初頭には102円台だったのに一気に110円を突破するまでに円安が進みました。
欧米諸国ではいち早くワクチン接種が進み、コロナ禍の出口が見えてきたのに日本は遅れてしまったこと、またアメリカのインフレ懸念から金利が上昇して日米の金利差が開いたことが2021年の円安の主たる要因であろうと思われます。
個人投資家の海外投資も円安要因に
ところで、目立たないですが昨今、円安圧力が増している要因として日本の投資家による海外への投資が増えているという点が挙げられます。
若年層を中心としたイデコやつみたてNISAの契約増加により、投資信託を通じた継続的な海外株式への投資がドル需要を増加させて円安圧力となっています。
2021年前半だけで日本からの外国株投信への資金流入額は3兆5千億円弱にも達し、2007年以来の高水準となっています。
これら、積立型の投資は金額は大きくないとはいえ、ひたすら長く続きますから円高への抵抗(円安圧力)が長期にわたって続くことを意味します。
イデコは今後も増え続けると思われますのでこの流れはそうそう変わらないでしょう。
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貿易黒字は低水準が続く
また、日本の貿易黒字は東日本大震災以降の原子力発電の大幅な稼働縮小による原油輸入の増大により減少しており、これまた円安要因となっています。

(出所:財務省)
ただし海外からの利子、配当金などの所得は大幅に黒字であるため経常収支は世界3位の黒字となっています。
貿易では稼げなくなってきているけれども、海外への投資で黒字を保っているといえます。
購買力平価からの考察
長い目で見ると、外国為替相場は購買力平価に収れんしていくというのが個人的見解です。
そして過去の経験則から導かれる結論は以下のとおりです。
1.消費者物価指数まで円安となることはまずない
2.輸出物価指数まで円高となることはまずない
3.企業物価指数を仲値ととらえることができる
2.輸出物価指数まで円高となることはまずない
3.企業物価指数を仲値ととらえることができる

現状を見ると、これ以上さらに円安に進む可能性は低く、中長期的には100円前後までの円高に戻るのではないかと推測します。
しかし、長年続いてきた円高傾向は緩やかになってきました。今後は極端な円高には振れにくくなってきたと推測します。
最後に
貿易黒字も減り、海外への投資マネーが増えれば極端な円高に振れる可能性は低くなってきたと考えます。
過去、極端な為替変動により日本経済は大きく振り回され、弱体化しました。それに学んで為替変動を一定に抑えて着実に成長しているのが中国です。
中国は日本の失敗から学んでいる。そして、着々と世界経済を牛耳っていくに違いありません。
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