世界を牛耳る巨大IT企業。儲けの割に労働分配率は低い

GAFAに代表される巨大ITプラットフォーマーが世界の情報を既存のメディアに代わって牛耳ろうとしています。
彼らは巨額の利益を手にし、他の企業を次々買収してはなぎ倒し、富の集中を生んでいます。ここまで来てしまうと情報の寡占化を防止するための方策を各国政府は考えなければなりません。
IT企業の労働分配率は低い
巨大IT企業は効率的に高い付加価値を稼ぎだしていますが、労働分配率は低い。そこで働く労働者は安くこき使われているというわけです。
ところで付加価値とはいったい何を意味するのでしょうか?
国語辞典によれば「一定期間の総生産額から原材料費・燃料費などと減価償却費を差し引いたもので、人件費・利子・利潤の合計になる」とされています。
アメリカの自動車産業は1970年代、付加価値の中から給与に回す労働分配率が7割を超えたといいます。
これに対し、巨大IT産業ではなんと33%(2019年)とその半分以下・・・。全産業に比べても20%程度低くなっています。
いったいどうしてなのでしょうか。
労働分配率が低い要因は・・・
要因はいくつか考えられます。
1.そもそも利益が大きいので労働分配率が低くても、社員を十分満足させるだけの給与を払っている
2.IT企業に限らず、株主資本主義が蔓延したために全産業で労働分配率が下がっている
3.自国の労働者に頼らなくても賃金の安い国(例えばインド)でも優秀な技術者を確保できるため、賃金の低下競争が起きている
4.企業を買収するための資金を留保しておきたいので給与は安く抑えておきたい
2.IT企業に限らず、株主資本主義が蔓延したために全産業で労働分配率が下がっている
3.自国の労働者に頼らなくても賃金の安い国(例えばインド)でも優秀な技術者を確保できるため、賃金の低下競争が起きている
4.企業を買収するための資金を留保しておきたいので給与は安く抑えておきたい
などです。
以下は欧米諸国の労働分配率の推移です。

(出所:内閣府)
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際立つアメリカの労働分配率の低迷
アメリカの低下傾向が目立っていることがわかります。
アメリカという国は株主資本主義が究極まで進んでしまった国であることを考えれば、1と2の要素が大きいと推測します。
株主そして自分たち(経営者)のために税法をも動かす
また巨大IT企業が問題(害悪)なのは儲けている割に納めている税金が少ないことです。GAFAの税負担はここ数年で15%程度であり、世界平均よりも約10%も低いのです。
ロビイストなどを活用し、税の抜け穴を作ってテクニカルに税負担を低くしていることは広く知られたところです。
そして、それはもちろん株主そして経営者のためであり、従業員のためではありません。
最後に
G20で法人税率を最低でも15%以上にすることが合意されたとか。悪しき株主至上主義、グローバリズムに対する反動が今起きています。
それは行き過ぎた株高を是正する圧力になることも視野に入れておかねばなりません。
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