金融リテラシーが高ければ利用したくない投資一任契約

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ファンドラップあるいはロボアドバイザーなどといった投資一任契約が好評を博しているとか。

金融事業者にとって、市場動向にかかわらず手数料が安定的に入ってくる投資一任契約は経営基盤の安定化という意味ではうってつけの商品だといえます。

しかし、その手数料を払っているのは当然投資家。しかもその手数料は安くはありません。

金融事業者と投資家とは明らかに利益が相反する関係にあり、このようなサービスは金融リテラシーが高ければ利用しないであろうと考えられます。

なぜなら手数料が高く、本来ならもっと利益を大きくすることができるからです。






資産残高が増えている投資一任契約


資金運用を金融機関にお任せするファンドラップとかロボアドバイザー投資といった投資一任契約が好調だといいます。

主な顧客層は60歳代から80歳代の高齢富裕層で、退職金を一気にぶち込むような猛者もいるようです。

大手証券会社が手掛けるファンドラップの残高は2021年6月末で9兆円近くにまで増加しています。

ファンドラップやロボアドバイザー投資の仕組み


顧客はあらかじめ金融機関に、どの程度のリスクなら許容できるのか、資金の運用期間や資金使途、投資経験などを申告し、金融機関は顧客の年齢などの属性などを総合的に判断して運用方針が決められていきます。

資金の運用先は投資信託で、運用方針に従って資金配分をする投資信託を決めて運用するわけです。

一定期間ごとに上がり過ぎた資産は売却し、下がっている資産を買い付けるなどのリバランスを行うことで、資産カテゴリーの比率をほぼ一定に保ちつつ運用を続けていくという仕組みです。

投資家のリスク許容度などによって運用方針のパターンは5から7段階になっているのが一般的です。

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投資一任契約のデメリット


運用資金の下限は対面型の証券会社の場合、ハードルが高くなっており、最低でも数百万円は必要となります。

投資一任契約のメリットはなんといっても、投資家がいちいち運用について頭を使う必要がないことです。

何しろ業者が勝手に運用してくれるのですから、後は結果待ち。果報は寝て待てといった感なのです。

しかしその対価は高い。

会社によって違いますが、手数料が年間1~3%程度かかり、この低金利下にあってはバカにできない金額となります。

そもそも高齢者はリタイアして時間が十分あるのですから、人任せにせず自分で運用したほうが楽しいような気もしますが、それは人の価値観ですからとやかく言うものでもないでしょう。

もっと良い運用手段は身近にあるのに・・・


しかし、それならば信託報酬の安いバランス型の投資信託に投資したほうがよほどコスト負担が小さい。

今や投資信託の信託報酬はかなり低くなっており、バランス型のファンドであれば年率0.2%前後のものがゴロゴロしています。

1000万運用するのであれば、1%コストが違うだけで年10万円の差がついてきます。これが複利で年々差がついていくのだからシャレになりません。

そして、投資一任契約のパフォーマンスが投資信託よりも良い保証はどこにもありません。

この点については監督官庁である金融庁も問題認識をしています。

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(出所:金融庁)

コスト控除後の平均パフォーマンスはバランス型の投資信託の平均と比べて総じて劣後」とまで言い切っています。

投資一任契約を金融機関が推す理由


ではなぜこのようなサービスが人気を博しているのでしょうか。

それは業者の都合という要素が大きいと考えられます。投資信託の手数料はどんどん安くなり、信託報酬も下がるばかり・・・。かといって、顧客に金融商品の乗り換えを進めて回転売買を繰り返せば当局から目を付けられる。

そこで、安定的に手数料をゲットでき、当局からも目をつけられにくい投資一任契約が利用されているというわけなのです。

しかし、投資家が金融業者の都合に合わせる必要はどこにもありません。

投資一任契約を利用する投資家は情報弱者と言い換えることもできるかと思います。

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