楽天、携帯事業の投資負担で綱渡り続く。打開策で起死回生なるか

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2021年7月後半、格付会社S&Pが楽天グループの長期債格付けをBB+に格下げしました。

その理由は楽天モバイルによる携帯電話事業への投資負担の回収見通しが厳しいことにあります。

そんな状況をなんとか打破したい楽天はトップダウンで新たなる突破口を見出そうとしています。その命運はいかなるものとなるのでしょうか。






長期債格付けが投資不適格に


格付でBBは一般的に投資不適格とされ、新たな資金調達をするには相応の金利を上乗せしなければなりません。場合によっては資金調達ができないというケースもありえます。

なにしろ機関投資家などはBBB以上の債券でなければ投資しないと規定しているケースも多く、大規模な資金調達が難しくなります。

楽天の長期債格付けが下がった原因はやはり携帯電話事業における投資負担が莫大なことです。

膨大な負債を本業でスムーズに返済していけるのか、懸念があるというわけなのです。

携帯事業黒字化のハードルは高く


楽天にとって計算外だったのは、菅首相がさらなる携帯電話の値下げを求めてきたことでしょう。

確かにスマホが世に浸透してから日本の通信費負担は非常に重たくなりました。

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(出所:社会実情データ図録)

デフレが続く中でスマホ代の負担がかさみ、若者は自動車も買えないという状態に陥っていたのです。

そんな矢先に元総務大臣で放送事業や電波関連事業について明るく、アキレス腱を知っている菅氏が総理大臣になったのは楽天にとって不運だったといえます。

NTTドコモやau、ソフトバンクが次々と安価なプランを出してくる中、後発の楽天としては当初の価格プランからさらなる値下げをせざるを得なくなりました。

当初のプランは2980円のワンプランだったのです。それが下手したら無料もあり得るという大胆な料金プランへと変更を余儀なくされました。

当然、黒字化へのハードルは高くなります。

新プランで黒字化するには契約件数で1300万件ほど必要と見られていますが、現状では400万件強。契約獲得の進捗はほぼ計画どおりとはいえ、今後さらに1000万件上乗せするのは並大抵のことではない。

無理して獲得競争に走れば経費がかさむし、経費をかけなければ契約件数が伸びないというジレンマに陥っています。

起死回生のプラン


そこで、切り札として登場したのは楽天モバイルが導入した低コストの基地局仮想化技術を海外企業に販売するというものです。

楽天モバイルが導入した技術は従来基地局として物理的に設置すべきハードウェアをソフトウェアで代替する仮想化です。

これにより、従来の技術よりも約4割コスト削減できるといいます。これこそが、楽天モバイルの価格競争力の源泉です。

後発のメリットを海外の新興企業にも売り込み、値下げ分をカバーして黒字化を急ぐという戦略を打ち出してきました。

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外販事業の事業規模


仮想化技術の販売事業は三木谷会長兼社長主導で、社運をかけた事業といえます。まず手始めにドイツの企業に外販が決定しています。

今後10年で2500億から3000億円程度の売上が見込め、営業利益は400億から500億円程度となる見通しとのこと。

さらに外販先を増やし、今後は1兆円規模の売上を目指すといいます。

最後に


楽天は通信機器メーカーではないから外販といっても、他のメーカーの製品にソフトを組み合わせて売るだけであり、競争力がどの程度あるのか素人には読み切ることはできません。

それはともかく、楽天モバイルが日本市場で消費者の満足度を高めないと外販も思うように進まないのは自明の理というものです。

通信エリアを増やし、安定して速い回線を提供することができれば海外企業の注目も高まることでしょう。

いつかソフトバンクを追い抜く日が来ることを期待して待っております。

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