働き方改革で労働時間は減少。自殺者は減少したのか

働き方改革のきっかけとなったのは東京大学卒のエリート女性が電通に就職したものの、過酷な長時間労働とパワハラにより、24歳の若さで自殺したことであったと記憶しています。
その女性は頭脳明晰なうえに容姿端麗でありその社会的衝撃は大きかった。
一人の女性の死が社会を大きく変えたのです。
地獄の労働が悲劇を生む
今は知りませんが、一昔前、電通は明らかにブラック企業といえる存在でした。度重なる社員の自殺。
高い給与には相応の理由があったというわけです。
以下は女性が遺したメッセージの一部です。
「休日返上で作った資料をボロくそに言われた もう体も心もズタズタだ」
「もう4時だ 体が震えるよ・・・しぬ もう無理そう。つかれた」
(ブログ管理人注記:夕方ではなく朝の4時である)
「土日も出勤しなければならないことがまた決定し、本気で死んでしまいたい」
「毎日次の日が来るのが怖くてねられない」
「はたらきたくない 1日の睡眠時間2時間はレベル高すぎる」
2015年10月25日(日)午後7時27分に出社、同10月28日(水)午前0時42分に退社するまで、約53時間社内にいたこともあるという。ほとんど収容所による強制労働です。
残業は月百数十時間におよび、もはや体力気力も限界を超えたであろうことは想像に難くない。
2015年4月に電通へ入社、そして2015年12月25日に自殺し亡くなりました。わずか9か月あまりで完全に人生をズタズタにされ、うつ病を発症したと見られます。
辞めればよかったのに、などというのは第三者だから言えることでしょう。精神的にも肉体的にも限界を超えた人間に、もはや冷静な判断などできようもない。
殺人マシーンのようなこんな会社が今なお存在することに恐怖を覚えます。しかも上場企業です。
ご遺族の無念さを思うといたたまれない。
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働き方改革現る
その後、社会に大きな変化が現れました。「働き方改革」です。
2017年に政府は働き方改革実行計画をまとめ、翌2018年には働き方改革関連法案が成立しました。
2019年以降順次法律が施行されています。
これにより、日本の労働者の労働時間は大幅に短縮しました。2018年には年間25時間減少、翌2019年にはさらに年間32時間減少、2020年はコロナ禍の影響もあり、さらに年間58時間減少。
3年間で116時間減少したことになります。
以下は労働時間の推移を示しています。

(出所:厚生労働省)
2020年はコロナの影響で世界各国とも労働時間が大きく減少していますが、3年連続で減少しているのはG7で日本だけです。
働き方改革で自殺は減ったか
働き方改革で自殺は減っているのでしょうか。
以下は各年の月別自殺者推移です。

(出所:厚生労働省)
黄色、ピンク、赤がここ直近の3か年です。2020年はコロナの影響で尻上がりに自殺者が増加しました。
しかし、趨勢として、働き方改革が進んでから自殺者は逓減傾向にあるといえそうです。
働き方改革の弊害
ただし、物事には必ず二面性があります。
労働時間の減少による名目賃金の減少は小幅にとどまっているものの、実質賃金はかなり下がってきています。

(出所:厚生労働省)
2019年10月の消費増税に追い討ちをかえたコロナ騒動により、日本のデフレ脱却がまたまた遠のくこととなりました。
また数値的な側面だけでなく定性的な現象として、時間に追われるために仕事の質が落ちている、ミスが多くなった、長期的な視点に立った仕事ができにくくなっているといった現象が発生しているものと考えられます。
終わりに
何ごともバランスが大事。過ぎたるは及ばざるがごとしという言葉もあります。それにしても衝撃的だったのは、この20年間、韓国の賃金は43.5%も伸びているのに、日本はわずか0.2%しか伸びていないという事実です。
もはや日本は韓国にも追い抜かれました。このままひたすら衰退の道を辿るという悪夢のシナリオが出来上がっているかのようです。
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