忙しい現代人にロボアド投資が人気。しかし日本の業者は手数料高すぎ

投資一任型の資産運用ロボットアドバイザー市場が好調です。
ある調査では現在100万口座前後である口座数が2023年度には260万口座へ達すると推計されています。
好調の要因はいくつか考えられますが、やはり最も大きな要因は株式市場が堅調であることです。
しかし、日本のロボアド市場はまだ緒についたばかりであり、まだまだ発展途上で課題も多い。その一つが手数料の高さです。
ロボアド投資の種類
ロボアドバイザー投資は大きく2つに分けることができます。
1つは投資運用をすべて金融機関にお任せするタイプ。そしてもう1つはアドバイスだけを受け、実際の資産運用は自分で行うタイプです。
前者はウェルスナビ、THEO、FOLIO ROBO PRO、楽ラップ、ON COMPASSなどが代表的なサービスとなります。
後者は投信工房、SMART FOLIO、SBI-ファンドロボなどが代表的です。
日本のロボアド投資は割高
前者と後者の違いは手数料です。
すべてをロボットにお任せする一任型のロボアドバイザー投資は概して手数料が高い。
それに対して後者の助言型のロボアドバイザーは単にアドバイスをもらうだけであり、原則無料です。アドバイスをもとに自分で投資信託を選んで投資するという形態です。
では一任型のロボアドバイザー投資の手数料水準はいかほどなのでしょうか。
各社とも細かい条件がありますが、概ね1.1%(税込)が標準となっているようです。楽ラップは0.7%程度と一番お得といった印象。
しかし、それでも日本のロボアドバイザー投資の手数料は先行するアメリカに比べてかなり割高といわざるを得ません。
ロボアド業界にも低価格化の波が
ロボアドバイザー投資の世界でも先行するのはアメリカ市場です。
2019年にアメリカでロボアドバイザーによって運用された金額は34兆円を超えました。2024年までにはさらに増えて80兆円超える見通しです。
運用資金を集める原動力の一つが手数料の安さ。
アメリカでは一任型でも手数料は概ね0.25%程度が相場であり、日本のように1%を超えるような手数料では高すぎて生き残ることはできません。
手数料が安い分、投資家は運用成果という果実を多く得られるというわけです。
日本でもより割安なロボアド投資サービスを提供する会社が現れ始めています。今後、ロボアド投資業界には価格破壊が起きるはずです。
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ロボアド投資は乗り換え楽々
なぜそう思うか?それはロボアド投資において、金融機関を乗り換えることは実に簡単だからです。
株式を何十銘柄も持っていれば、証券会社を乗り換えるだけで一苦労となるので、少々の不満は我慢して使い続けることが多いでしょう。
しかし、ロボアド投資ならば解約して出金するだけ。好きな会社があれば口座開設して入金するだけと実に簡単。
乗り換えの手間は少なく、そのハードルは実に低い。後発企業にもチャンスは十分にあるというわけなのです。
個人的にはロボアド投資の手数料が下がるまでは既存の投資信託の中から信託報酬が安いファンドを選んで投資したほうがよほどお得感があると思います。
例えば以下のようなファンドです。
楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)
『愛称:楽天・バンガード・ファンド(バランス株式重視型)』
↓
信託報酬 0.1320%
ネット証券であれば買付時にも手数料はかからないし、信託報酬はロボアド投資の10分の1近い。
運用の巧拙など後になってみないとわからないのですから少しでもコストパフォーマンスの高い投資信託で複利効果を狙ったほうがよいというのが個人的見解です。
日本の金融資産の非効率
それにしても日本の家計金融資産に占める現預金の割合は依然として高い。

約半分が現預金であり、資金効率の悪さが目につきます。
1995年以降、アメリカは金融資産を3倍以上に、イギリスは2倍以上に増やしているのに我が国はわずか1.5倍程度です。

給与所得も増えないし、資産運用でも増えていないことは以下のグラフを見れば明らかです。

(出所:金融庁)
SBIが動き出した
SBIホールディングスがロボアド投資サービスを提供しているFOLIOホールディングスを買収するといいます。
安定的な収入基盤を固めるため、2021年度中にも共同でロボアド事業を始める予定ということ。
SBIは地方銀行と積極的に提携していますから、地銀でもロボアド事業が拡大していくと思われます。
またSBIといったらなんといっても手数料の安さでしょう。他社に比べて手数料を圧倒的に安くし、顧客を根こそぎ奪っていくというのがお得意のビジネスモデルです。
2022年はロボアド価格破壊元年になることはほぼ確実だと見ます。
終わりに
日本人はお人好しで金払いが良い。しかし、デフレでそんな余裕はなくなりました。
金融リテラシーを高めて、低コストで高効率の運用をしなければますます貧困化が進んでいくことは間違いありません。
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