Jリートが大崩れしないと考えられる理由は2つ

今年(2021年)に入ってからのJリートの上昇は目を見張るものがありました。
新型コロナウイルスもなんのその。コロナ禍前の水準にほぼ戻ったといってよいでしょう。
しかし、ここに来てさすがに上昇も一服。
さて、今後は反落に向かうのかそれとも堅調に推移するのか、その予想はなかなか難しいですが、ここに来てJリートには2つの追い風が吹いてきたと見ます。
追い風が吹いている以上ここから大きな調整はないというのが個人的見立てです。
Jリートの現状
以下はここ2年の東証リート指数の推移です。

株価に遅れ2021年に入り大きく上昇していることがわかります。しかし、さすがにここに来て上げ相場も一服したと見ることができるでしょう。
追い風その1(GPIFからの資金流入)
GPIF(※1)といえば日本が誇る世界最大の機関投資家です。その運用資産額は2021年6月末で193兆円にのぼります。
GPIFが発表した2020年度の運用報告によれば「MSCI JAPAN IMI REIT指数(※2)」をベンチマークとするファンドへの投資を始めたことが明らかになりました。
まだまだ投資額は小さく700億円弱ですが、今後の投資拡大に期待が広がっています。
なにしろ2021年3月末時点でGPIFは国内株式を約46兆円保有しています。それに対し、Jリートは2020年度に上記指数をベンチマークとするファンドに、過去に購入したJリートを合わせても800億円程度と比率的にはかなり小さい。
その比率は0.2%弱となっています。
一方で、上場している東証1部上場株式の時価総額約440兆円に対するJリートの時価総額は約16兆円です。
Jリートの時価総額は東証1部上場株式の時価総額の3.5%程度であり、GPIFにはまだまだ買い余地があると考えられます。
ざっくりと推測して、1兆円程度の買い余力を残しているものと推測します。
(※1)GPIF
年金積立金管理運用独立行政法人。公的年金積立金の管理、運用を行っている。積立金は国内外の債券市場や株式市場で運用し、運用収益とともに年金給付の原資となる。
(※2)MSCI JAPAN IMI REIT指数
Jリートを対象に米国のMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が算出・公表する指数。
年金積立金管理運用独立行政法人。公的年金積立金の管理、運用を行っている。積立金は国内外の債券市場や株式市場で運用し、運用収益とともに年金給付の原資となる。
(※2)MSCI JAPAN IMI REIT指数
Jリートを対象に米国のMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が算出・公表する指数。
![]() | 価格:858円 |

追い風その2(建築鋼材の爆上げ)
ここ最近、建築用の鋼材の値上がりが凄まじい。これは木材価格の高騰と相通ずるものがあります。
鋼材の取引価格は12年ぶりの高値を記録しており、昨年の安値からは4割近く上昇しています。
建築需要が高い中で、コロナ禍により需給がタイトになっているのが価格上昇の要因です。
こんなご時世に建築が盛んな物件は、大型の物流倉庫やデータセンターなど。いわゆる巣ごもり消費が追い風となっている物件です。
ここまで値が上がると需給が緩んでいるオフィスビルなどの建設は手控え傾向となり縮小傾向にならざるを得ません。
その結果、今後のオフィス供給量は減少するため、テレワークによるオフィス需要減退にも耐えられるのではないかというのが個人的な見立てなのです。
最後に
それにしても、木材や鋼材価格の高騰は今後の建築需要を冷やす可能性が高い。
住宅やオフィスなどの建設は経済全体に対する波及効果が大きいため、建設需要の減退は景気悪化につながりかねないというリスクがあります。
コロナ騒動は今だ収まらず、民間需要が伸びない中にあっては政府の公共事業による財政支出拡大と減税が景気浮揚のための必須条件です。
今年の選挙はまさに今後の日本経済の命運を決めると言っても過言ではないでしょう。
【関連記事】
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