金融所得課税のアップを嫌気し、株価爆下げ↓

9月24日に日経平均が3万円に乗せたと思ったら、自民党総裁選を経てあっというま間に2万9千円割れ・・・。
これはひとえに岸田新総裁が打ち出している金融所得課税の税率アップに投資家があきれているからだと考えられます。
株価の下落は一種の抗議運動にも見え、秋の衆院選にも影響を与えることになるはずです。総裁選に勝っても衆院選で負ければ再び退陣論が出てくるものと考えられます。
金融所得課税の税率アップの源
高市氏も主張していたと思いますが、岸田氏も総裁選で、金融所得課税の見直しを主張していました。
もちろん税率アップです。
現状20.315%の税率を引き上げて税収を増やし、増えた分を低所得者層に分配するという一見もっともらしい主張です。
岸田氏のホームページ内には確かにそれらしい考えが示されています。
『1億円の壁の打破』です。
所得は増えれば増えるほど税率はアップしていくと考えるのが普通でしょう。
以下は所得税率の速算表です。

(出所:国税庁)
しかし、実際にはそうなっていない実態がある。
所得が1億円くらいを超えると、税率が下がっているのです。
不公平な税制
なぜか?
上場企業のオーナーなど、超富裕層は保有株式の配当など金融所得の比率が高いのが一般的です。
そしてそれは分離課税であり、他の所得とは切り離され、どんなに高額でも20.315%の税負担で済みます。
2019年のデータでは所得が5000万円~1億円の所得層の所得税負担は27.9%でした。ところが、20億円超~50億円の所得層の所得税負担は18.9%と逆に下がっているのです。
明らかに不合理です。そこで出てきたのが金融所得課税の税率アップというわけです。
単なるごまかし、小手先の議論
税率は25%とか30%とかに上げることを考えているのでしょう。これは一見正しい政策のようにも見えます。
しかしこの政策は消費税同様、依然として金持ち優遇の政策であるといわざるを得ません。
税率が30%と仮定し、所得が200万円の人が株で100万円儲けたら30万円の税負担となるわけです。所得税率は10%ですから株の儲けの税率は明らかに高い。
そして、所得1億円の人も株で100万儲けたら30万円の税負担です。しかし、所得が1億円の人は所得税率が45%ですから、依然として株の儲けの税率は明らかに低い。
消費税同様、逆進性のある不公平な政策といわざるを得ず、金持ち優遇であることに違いはありません。
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本来あるべき姿
本当に格差を縮小したいのであれば、金融所得課税の分離課税方式はやめ、他の所得と合算して総合課税にすべきでしょう。
上記の例でいえば、所得200万円の人が株の儲けで負担する税率も10%となり10万円。所得1億円の人は税率45%で45万円の税負担とすべきです。
これであれば逆進性は解消されます。
ところが岸田氏が考えていることはやはり金持ち優遇であり、格差の程度を少々緩和しようということくらいです。
いわば骨抜きであり、単なるガス抜きです。
どちらも誤っているというのが現代の常識
日本は長らく国策として「貯蓄から投資」が叫ばれており、今ようやくその流れができつつあります。しかし、金融所得課税の税率アップはその流れを断ち切ることになるでしょう。
税金は財源ではないというのはもはや近年の経済学の常識であり、税率を上げる必要などどこにもない。
むしろ10%に下げて投資を呼び込むべきであることは明らかです。デフレが継続している以上、消費税率も下げるべきです。
自民党は岸田総裁となり、多少マシになったとはいえ、今だ中途半端な政策に囚われており、消費減税も主張しないという体たらくです。
自民党議員のほとんどは経済のお勉強もまともにしていないので、財務官僚の操り人形と化しています。
国民にとって本当の勝負は衆院選であり、また野党がどこまでまともな経済政策を主張できるかにかかっていることは疑いようがありません。
政権交代が可能な仕組みが無ければ健全な政策が行われないため、日本人は不幸になっていく一方です。
疑似バフェット指標(2021年9月末)
2021年9月末現在の株価の居所を確認しておきましょう。
(疑似バフェット指標についてはこちら)

株価は依然として割高と見ます。今後本当に金融所得課税がアップするようなことになれば、株価は大きく下落することとなり、デフレ脱却が再び遠のくことになりそうです。
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