業績がひたすら悪化して衰退していく企業の特徴(その4)

カメレオン

企業の業績が芳しくない原因は社長および経営層に100%責任があるといってよい。

しかしそのしわ寄せは末端の従業員にも行きわたります。経営にタッチできない末端社員にも被害が及ぶのはもはや悲劇としかいいようがありません。

むしろ末端社員のほうがより大きな被害を受けるといえます。

そして、業績悪化の原因は末端社員の行動パターンにも大きな影響を与えています。






組織末端に被害者意識が広がる


経営陣の戦略がコロコロ変わり、そのたびに言うことも判断基準も変わっていく。

末端の社員は何を信じてよいかわからなくなって頭が混乱し、経営陣を信じることができなくなります。

そこに出てくるのは被害者意識。

本社の下請けともいえる末端営業マンなどは本社の言い分に従うほかありませんが、顧客に対して言うことをコロコロ変えねばならず、自己矛盾が広がって悩みが深くなります。

また顧客のほうも首を傾げて、営業マンや会社を信用しなくなってきます。

そりゃそうでしょう。しばらく前と言っていることが全然違っているのですから。

カモにされているのではと疑念を持つのは当然のことです。そして、顧客は去っていきます。

優秀な社員が会社を去っていくことも多くなります。こんな会社にいても仕方がないと思う人が増えるのは当然のことです。

残った社員は愚痴ばかりが口から出てくる始末となり、会社に対する忠誠心は薄れてきます。

こんな会社の業績が良くなるはずがありません。

行きやすい顧客のところにばかりに営業


経営陣から明確な戦略が示されていれば当然にターゲットとなる顧客層も絞られてくるはずです。

ところがそれが明確に示されない。

しかし、当然売上は求められます。勢い、営業マンは自分が行きやすく、売りやすい客先ばかりに足を運ぶこととなります。

会社としての明確な戦略があれば、行きやすい客先が今後の会社の重点顧客とは限らないのは明白です。当然、新規開拓も必要になるでしょう。

しかし、売上だけが評価基準では新規開拓など効率の悪いことはやっていられない。

既存顧客ばかりを攻めることになりますが、当然、競合他社に奪われるケースもあるわけですから、じり貧になるのは当たり前です。

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経営レべルの話が個人の問題にすり替えられる


失望は若手社員を中心に広がっていきます。組織末端には若手が多いからです。

気骨ある若手社員は上司に進言したりするわけですが、会社の体質にずっぷり染まった上司は上に物申しても無駄であるとあきらめています。

しかし、そのあきらめを若手に披歴するわけにはいかない。戦わない上司として軽蔑されるのは目に見えているからです。

そこでどんなことが起こるか?

まずは自分自身で解決することから始めたらどうか、君の考え方に問題があるのではないか、などと上司は若手を丸め込みに走ります。

ところが若手もそんな行動原理はすぐに見抜きますから、ますます会社に嫌気がさすという悪循環に陥ります。

後ろ向きのコスト削減ばかり


営業戦略がまともに示されないのですから売上もじり貧となっていきます。

あるいは、売上が上がっても値引きばかりで利益が上がらない。

そこで出てくるのは経費の削減といった悲しい後ろ向きの対策ばかり・・・。

コピー用紙を使い回したり、昼休みに電気を消したり、残業禁止にしたりといった悲哀な対策ばかりが出てきます。

SDGsなどという胡散くさい綺麗ごとがまかり通る世の中ですから後ろ向きでも正当化されやすい風潮にありますが、これでは会社は成長しないでしょう。

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戦略が組織の中間で消えていく


もっとも戦略なき会社などは、この世にほとんどないのではないでしょうか。

どんな企業にもそれなりの戦略があるはずです。問題なのはそれが全社的かつ末端組織にまで行きわたり、具体的な行動にまで落とし込まれるかどうかです。

経営陣は大層立派な戦略を考えるのですが、それが現場の実態に即していなければ机上の空論となり空回りします。

経営者は末端組織の行動パターン、思考パターンまで把握して戦略を立てなければ生きた戦略にはなりません。

戦略上ボトルネックになるところはないかを一つ一つ丁寧に確認していく必要があります。ボトルネックがあればそれを取り除くのは当然経営陣の仕事です。

また沈滞企業では会社の戦略が伝言ゲームのように組織の中間で捻じ曲げられ現場ではまったく違った価値観がまかり通る。

営業現場と経営陣との距離があまりにも遠く、組織はバラバラ。こんな企業の業績が良くなるはずがありません。

戦略なき人事異動


戦略はしっかり立てたつもりでもそれがうまく行かないと組織や人の問題にすり替えられます。

そして場当たり的な組織変更や人事異動が繰り返されます。こいつでダメならあいつというわけですが、戦略に問題があるのですから人を変えてもうまく行かない。

人事異動にも戦略的な人事異動と、場当たり的人事異動の二種類がありますが、業績低調企業で行われるのは概ね後者です。

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