ロボアド投資やファンドラップの残高が最近増えている最大の理由

資産運用の世界で、ロボアド投資やファンドラップと呼ばれる投資一任型のサービスが好調に資金を集めています。
証券会社のみならず銀行でも取扱いをするケースが多くなっており、資産残高は2021年6月末現在で約12兆円にまで増えています。
その理由はなんなのでしょうか。
ロボアド投資とファンドラップの違い
同じ投資一任型のサービスでもロボアド投資とファンドラップという言葉が入り交じり、いささか混乱を招いているようです。
ロボアド投資もファンドラップも投資家のリスク許容度や年齢、資産の状況や収入などを運用業者が把握して、適切であろうと考える運用を行っていくのは同じです。
ただ、ロボアド投資はそれを完全にAIが行うのに対し、ファンドラップは人が介在してヒアリングしたり、説明を行ってくれたりするという違いがあります。
ネット証券と対面証券のサービス提供の違いと似ていると考えればわかりやすいと思います。
サービス提供方法による手数料の違い
ロボアド投資は原則として人が介在しないので人件費が安く済む。そのため、運用にかかる手数料率が低いのが一般的です。
現状、各社ともに年率1%程度が相場となっており、100万預ければ毎年1万円程度の手数料負担が発生することになります。
日本のロボアド投資はまだまだ発展途上段階にあり、手数料率が高いですが、アメリカでの相場を見ると概ね0.3%程度が一般的です。
よって、日本でも今後、手数料率が下がっていくものと考えられます。
一方、ファンドラップについては営業マンと会って、対話しながら運用方針を決めていくわけですから人件費というコストが上乗せされます。
会社により若干の違いはありますが、概ね年率2~3%の手数料がかかります。100万円に対し毎年2~3万円の手数料を払うことになるのですから大きな負担だといえるでしょう。
投資初心者であれば根掘り葉掘りいろいろと聞くことができるので、高いとはいえないかもしれませんが、ある程度の知識を持った人なら、そのお金は投資に回したいと思うのではないでしょうか。
最近投資一任運用が増えている理由その1
ここ5年間で投資一任運用資産は約2倍に増加しここ最近特にその傾向が強まっています。
いったいなぜなのでしょうか。
理由はいくつか考えられますが、一番の要因は銀行の収益基盤の低下です。
長引く低金利で銀行は貸出での利ザヤが小さくなり、収益は悪化しています。


(出所:金融庁)
預金ばかり集めても貸し出す先が少ない、あっても利ザヤは小さいというのが現実です。
それならいっそ投資一任サービスを提供している会社と提携してそちらに資金を振り向けてもらおうというわけです。
そうすれば、預金の利息は支払わなくても済むし、安定的に手数料もいだだけるので1粒で2度おいしい。
要するに銀行の懐事情に消費者が振り回されているということです。
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最近投資一任運用が増えている理由その2
銀行、そしてむしろ証券会社は収益が低調で厳しくなると投資信託の回転売買により手数料を顧客から踏んだくってきたという歴史があります。
しかし、昨今の投資者保護の風潮からもはやそんなことはできません。当局から大目玉を食らうことになります。
その点、ファンドラップで安定的に高い手数料をいただければ労力は最初だけで済むし、当局から目を付けられることもない。
安定的な収益基盤を作り、しかもコンプライアンスリスクが小さい投資一任サービスは渡りに船のような存在なのです。
最後に
ここまで見てきて明らかに感じるのは、投資一任サービスが人気を博しているのはサービスそのものの魅力ではないということです。
むしろ金融機関の都合によるサービス押し付けで、残高が増えていると思わざるを得ない。
そんな金融機関のご都合主義に投資家は振り回されてはならないと考えるのでありんす。
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