Jリート伸び悩みで弱気説も。その背景に何があるのか(2021年11月)

ビル

Jリートに逆風が吹き続けています。この逆風はなかなか収まりそうもなく、Jリート市場の重石として当面とどまりそうな気配です。

今いったい何が起こっているのでしょうか。






Jリート市場の現状


Jリート市場が世界のリート市場に比べて相対的に伸び悩んでいるという指摘があります。

さて、本当にそうなのでしょうか。

以下は東証リート指数の動きです。

20211106reit.jpg

たしかに2021年夏以降、調整に入っているようです。

これはひとえに新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の影響ではないかと思われます。

Jリートに比べ欧米のリートが堅調に見えるのは、夏以降に日本のコロナ感染状況が悪化したこと、またドル建てで比較するため、円安がJリートのドルベースでの価格を押し下げたというのが要因だと考えられます。

リート市場への逆風


しかし、それはあくまでJリートだけの話。世界的にもリート市場にはにわかに逆風が吹き始めました。

テーパリングです。

2021年11月3日に開かれたFOMC(※)で、アメリカは金融市場での量的緩和の縮小を開始することを決定しました。

今のところ、緩和縮小にとどまっていますが、高インフレに歯止めがかからないと利上げが視野に入ってきます。

金利上昇は2つの面でリートに逆風を吹かせます。

1つめは、債券の利回りが上昇するためリートの魅力が薄れること、そして2つめとしてリートは銀行から資金を借り入れながら不動産を買い付けているため、金利の上昇は金利負担を増加させ、利益を減少させることです。

※FOMC(米連邦公開市場委員会)
アメリカの中央銀行にあたるFRBが金融政策を決めるために開く会合のこと。通常年8回開催される。日本銀行の金融政策決定会合と同様のもの。


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Jリート特有の逆風


上記のほかに、日本のJリートには固有の逆風が吹いています。

オフィス需要の減退です。

2021年9月、東京のビルの賃料が10年ぶりに前年同期で値下がりしました。

主な値下がり要因は2つ。

1つは企業業績悪化にともなうコスト削減、もう1つはテレワークの定着にともなうオフィスのありかたの見直しです。

昨年(2020年)に比べ、今年は後者の比率が大幅に高くなっており、企業業績にかかわらず、オフィス面積の縮小が進んでいます。

この傾向はとりわけ大都市圏で顕著に現われています。

地方のオフィスは案外堅調


大都市圏に比べ、地方のオフィス需要は案外堅調であり、賃料の下落もほとんど見られません。

地方企業は首都圏の企業に比べてIT化が遅れているという見方もできますが、そもそも地方は首都圏のような通勤地獄がない。

通勤時間も短く、テレワークで得られるメリットが首都圏のように大きくないというのがテレワークに積極的になれない要因であるといえるでしょう。

以下は都市規模別の通勤時間の平均です。

20211106tuukinn.jpg
(出所:NHK放送文化研究所)

東京の人は地方の人に比べ、平均で1日あたり30分は通勤時間(往復)が多くかかっていることがわかります。通勤地獄から解放されるテレワークを歓迎する人が多いのもわかります。

反対に地方の人は通勤に負担が少ないため、オフィスに集まって業務を進めることのメリットを優先しているものと考えられます。

最後に


今年もあと2か月を切りました。2022年、NISA枠でどのJリートを買おうかと思案に暮れるところです。

逆風が吹いているとはいえ、短期的な値動きに一喜一憂することなく、ほどよい分散投資ができていれば致命的な打撃を受ける可能性は少ないと見ます。

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