2021年春からのマネーストックの伸び鈍化で日本は再びデフレ化へ

デフレは単なる貨幣現象と考えるのが、リフレ派経済学者の経済に対する見方です。
個人的にそれには100%賛同はできないものの、7,8割は正しいと見ます。
そう考えると2021年4月以降の日本の金融政策はいささか消極的すぎ、この先、再びデフレに突入する可能性が高いといわざるを得ません。
1990年代以降の日銀大失策
マネタリーベースおよびマネーストックの増減はGDPや物価に影響を与えないと考えるエコノミストもいれば、密接に関係すると考えるエコノミストもいます。
1990年代前半から2010年代前半までは、日銀の考え方は前者であり、やっているふり的で中途半端な金融緩和によりデフレが継続しました。
とりわけ1990年代後半から2012年にかけてのデフレは悲惨を極めています。
自殺者はその間、それまでよりも毎年1万人程度増加して3万人の大台を超え続けました。日銀の誤った金融政策により10万人以上は落とさずに済む命を落としたといえます。
これは未必の故意による間接殺人と考えざるを得ません。
マネーの供給が経済を活性化
一般的にマネーストックが減少すると、経済の実質成長率が低下し、そして名目成長率も低下、最後に物価が下落するというのがお決まりのパターンとなります。
それをまさに証明してみせたのが1990年代後半から2010年代前半の日銀だったといえます。
その流れを断ち切ったのは第二次安倍政権でした。それにしても長すぎた失策といえます。
安倍政権発足後、黒田日銀総裁は黒田バズーカと言われる異次元金融緩和で、マネタリーベースを増加させています(赤い枠部分)。それにより、マネーストック減少とは逆の好循環が回り始めます。
■マネタリーベース■

マネタリ―ベースの増加に比べて相当鈍いですがマネーストックも増加に転じています。
■マネーストック■

そして実質成長率が上昇に転じるとともに名目成長率も上昇しています。
■実質成長率■

■名目成長率■

物価もそれにつれ上昇していることがわかります。
■物価■

(出所:ニッポンの数字(一部加筆))
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第二次安倍政権の腰砕け
マネタリーベースを急激に増加させているうちに、第二の矢である財政政策を矢継早に出していれば、今頃はとっくにデフレから脱却していたはずです。
しかし、安倍政権はそれをしなかった。
日銀の金融政策任せで、第二弾の増援部隊を出さず、見殺しにしたのがアベノミクスの本質であり、失政だったといえるでしょう。
(それでも悪夢の民主党政権よりはマシであったことは事実。今回の衆議院選挙でも選挙民はその事実を忘れていないと見ます。)
最近の動ぎは暗い将来を予感させる
ところで最近の動き(緑の枠部分)を見ると心配にならざるを得ない。
急激にマネタリベース、マネーストックの伸びが減少しており、実質、名目ともにGDPは低下しつつあります。
生鮮食品やエネルギーを除いた物価指数、コアコアCPIは大きくマイナスに転じています。
このままでは失速したアベノミクスの二の舞となる可能性が高い。
政府は積極的な財政政策を展開し続ける必要があります。しかし、財務省の犬であるマスコミはそれをバラマキと表現し、いかにも悪いことのように印象付けています。
マスコミは財務省の意向を受けてバラマキ批判を行っているわけですが、そんなプロパガンダを信じていては、日本経済の立ち直りは期待できないのであります。
なぜマスコミが財務省の宣伝機関となるのか。その答えは以下の動画の中にあります。
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