アメリカ株、ひたすら自社株買いで株価を支え続ける

重量挙げ

アメリカ株が高止まりしています。

この株高を支えている要因はいくつか考えられますが、その要因の一つが旺盛な自社株買いです。株主資本を少なくして、いかに効率的に利益を上げるのか。

アメリカ株の現状を見ると今だ株主資本主義は衰えず、といった様相が見えてきます。






アメリカ株絶好調


アメリカの代表的な株価指数であるS&P500は、2021年11月現在、1年前に比べ約30%高と株価は絶好調です。

日経平均株価はその間、約10%高にとどまっており、アメリカ株の堅調さが際立っています。

20211121_SP500.jpg

株価堅調の要因


株価高騰の要因の一つは好調な業績を背景とした旺盛な自社株買いです。

2021年7~9月期の企業業績は多くの企業で予想を上回る好調さであり、これが自社株買いの原資となっています。

好業績となっているのはワクチン接種が進み、コロナ禍もピークを越えたといった安堵感が広がってリベンジ消費が進んでいるからだと思われます。

赤のラインがアメリカの感染者数を表しています。

20211121_corona.jpg
(出所:社会実情データ図録)

最悪期は脱したように見えます。

コロナ被害の不確実性


一方で上のグラフでわかるように欧州では感染が広がっており、世界各国で全く状況が違うのは不気味ではあります。

いったいなぜ地域や国によって、こうも被害が違うのか?今のところ納得のいく答えを聞いたことがなく、解明が急がれます。

ところで、自社株買いは、自社の株価が割安であるというメッセージともなるため、投資家の買いを誘い入れるという面もあります。

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産業構造の変化が自社株買いを加速


株式市場におけるIT企業の存在感が高まったことも自社株買いが拡大する理由となっています。

重厚長大の20世紀型企業に比べ、IT企業は設備投資に莫大な資金を必要としません。

そのため、利益から自社株買いに回せる資金は潤沢であり、自社株買いにより市場から流通株が減少し、株価が上がりやすくなっています。

配当金での還元と自社株買いによる間接的な還元を合わせた総還元性向はアメリカ企業ではなんと8割に達します。

一方、日本企業は約3割にとどまっており、これが日米の株価推移に影響を与えていると考えられます。

日本と欧米企業のROEの差


アメリカ企業がいかに株主還元を高め、効率性を目指してきたかはROE(株主資本利益率)の違いを見れば明らかです。

20211122ROE.jpg
(出所:経済産業省)

S&P500の構成銘柄の約半分がROE15%以上という驚異の効率性を誇ります。日本企業との差は歴然としており、それがここ30年の株価推移に見事に現われています。

20211122kabuka.jpg
(出所:経済産業省)

日本の株価が低迷した要因は主にデフレにありますが、低効率経営もその要因の一つといえます。

最後に


アメリカの株主資本主義は今だ衰えを見せません。

バイデン政権は格差是正を目指しているようですが、株価はそれが失敗するのを先読みしているかのようです。

格差社会はまだまだ当分続くのでしょう。

安い賃金で働く労働者こそ、株式投資を積極的に行わないと格差はますます広がるばかりのようです。

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