Jリート。絶好調の物流施設にも変化の兆しが現れる

コロナ禍で生活様式が変化する中、その恩恵を得た一番の不動産セクターは物流施設だといえます。
リートの値動きとも思えぬような価格上昇で、インカムゲインのみならずキャピタルゲインをもゲットできるレベルにまで上昇しています。
しかしながらここに来て変化の兆しが現れつつあります。
物流施設型Jリート絶好調
以下はコロナ騒動勃発前からのJリートの値動き比較です。

青いラインがJリートのうち一番時価総額が大きい日本ビルファンド投資法人(8951)です。
その他は、物流施設型を時価総額が大きいほうから4銘柄を機械的に選びました。物流施設型はいずれも好調であり、コロナ前の価格を上回っています。
さすがにここまで値が上がると利回りは低下し、いずれも3%前後といったところ。利回りの魅力には欠けるといわざるを得ません。
その好調要因
目先の業績は好調です。2021年7~9月期の賃料は依然として最高値水準です。好調の原因はなんといっても、eコマース市場の拡大。
コロナ禍という追い風で、2020年のeコマース市場は前年比で一気に2割増加しました。
商業施設でモノが売れなくなった一方で、eコマースは絶好調、そして在庫を抱えて早く出荷するには大型で立地条件のよい物流施設が欠かせないため、その需給がタイトになったということです。
過剰な物件供給が状況を変える
足りない物流施設を補うべく、2021年は前年比4割増しの面積が新たに供給されています。そして、2022年は2021年の水準をさらに上回る見通しです。
大量の物流施設供給は、物流施設不動産の好調さに陰を落としつつあります。
ここに来て、にわかに空室率が上昇してきたのです。
ここしばらく1%台であった空室率が2021年夏には2.6%にまで上昇しており、需給バランスが今後さらに崩れる可能性が高い。
そうなれば当然賃料も下がる。それは物流施設型Jリートの値下がりにも直結するものです。
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2022年の投資候補
物流施設型Jリート全銘柄の平均NAV倍率は1.38倍と高くなっています。
物件の価値以上に投資口価格が高く、人気を集めていることがわかります。Jリート全銘柄を見ても上位に並ぶのは物流施設型ばかりです。いささか買われ過ぎの感が強いといった印象。
ところで少々気が早いですが、2022年の有力な投資先はないものか?
Jリート全体が高止まりしている中では選別投資が欠かせないと感じます。
そこで必要条件は2つ。
高い利回りを確保できること、そしてNAV倍率が低いことです。
興味を引くのは、総合型のザイマックス・リート投資法人(3488)。
予想分配金利回りは約5.2%で、NAV倍率は0.8倍程度です。
なぜ割安に放置されているか?という疑問が湧きますが、資産規模が小さく、上場も2018年と歴史が浅いこと、また格付会社から格付けを取得していないことが理由だと思われます。
機関投資家が手を出しづらいため、割安感があるのでしょう。2022年の有望銘柄はザイマックスだ~(個人の感想です)。
最後に
今後は物流施設間の競争が激化していくと予想され、賃料のさらなる上昇は見込めないでしょう。
2022年以降、物件の立地条件や施設の規模などによって入居率や賃料に大きな差が出てくるものと推測します。
コロナ禍もあと1年で収束するものと考えられ、物流施設の蜜月も徐々に終わりが近づいているようです。
2022年、Jリートへの投資先から物流施設は外しておくべきというのが個人的な見解です。
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