世界でハイブリッド戦争が多発している理由

核兵器が開発されてから、核兵器保有国同士が従来型の通常戦争を行ったことはありません。
代わりに行われているのが、戦争であるかどうかの判別すら難しいハイブリット戦争。中国的にいえば超限戦といわれるものです。
このハイブリット戦争は、核兵器がある限りエスカレートするばかりであり、とどまることを知りません。しかしなぜ今、ハイブリット戦争がエスカレートしているのでしょうか。
核兵器を源泉とするロシアの存在感
第二次大戦後、核兵器は世界に広がって人類を何度も滅亡させることができるほどの核弾頭が世界各国に散らばっています。
以下は世界主要国の核弾頭保有状況です。

(出所:令和2年版防衛白書)
このほかにもインドが130~140発、パキスタンが150~160発、イスラエルが80~90発、北朝鮮が20~30発の核弾頭を保有すると見られています。
アメリカとロシアの数は群を抜いており、経済力(名目GDP)は中国の10分の1、日本の3分の1、韓国よりも少ないにもかかわらずロシアが国際的に存在感が大きいのはひとえにこの核兵器の数によるものです。
(名目GDP:2020年)

(出所:世界経済のネタ帳)
核保有国同士の抑制
なぜ核兵器保有国同士は戦争しないのかはほとんどの人が知っているでしょう。
核保有国同士が通常戦争を行えば、劣勢となった方が半ばヤケクソ気味に核兵器を使うかもしれないからです。
核兵器は陸上のみならず、潜水艦に積まれてどこにいるかもわからず、最初に核兵器を使用すれば必ず報復される。
現代の核兵器(ICBM)の威力は想像を絶し、人口密集地であれば一発で数千万の人が一瞬にして溶けてなくなります。
これでは怖くて先制核攻撃などできようもありません。
新たなる戦争形態が広がる
上記が核保有国同士が通常戦争をも行わない理由です。
通常戦争がいつ核戦争にエスカレートするかわからない。その恐怖が核保有国同士の直接戦争の抑止力となっています。
しかし、その代わりに大国同士で行われているのが、ハイブリット戦争といわれる新たな戦争です。
ハイブリット戦争では宣戦布告などはありません。現在も戦争中だといえます。
ハイブリット戦争が展開されるのは主にサイバー空間です。
サイバー攻撃により相手国の社会を混乱に陥らせる。その証拠はなかなか残りません。
また、相手国の世論操作などもハイブリット戦争の一形態であり、選挙で自国有利の候補者を当選させるなど、あらゆる手段を用いて自国を優位な立場に持っていこうとします。
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武器を持たない相手には容赦なく・・・
一方で核非保有国との非対称的な戦争は従来型の通常戦争も行われます。
第二次大戦後に起こった朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガニスタンを巡る紛争などは核保有国が核攻撃を受ける心配がないからこそ通常戦争が行われたといえます。
今、台湾が中国に狙われています。もちろん台湾は核保有国ではない。
日本もまたしかり。
それゆえ、中国は核兵器での反撃を恐れることなく通常戦争を仕掛けることができます。
台湾や日本が中国の脅威から逃れる方法は2つしかありません。
通常戦争で絶対に負けない戦力を保持するか、核兵器を保有するかです。
最後に
危機は刻一刻と迫っている。
北京五輪が終われば中国としては一区切りでしょう。ウイグルなどで行われているジェノサイドへの抗議として、西側諸国は外交的ボイコットを進めています。
中国としては面子をつぶされた形となりますので、台湾侵攻を早める口実にもなりかねない。
台湾をめぐる綱渡りが今後10年にわたり世界中で繰り広げられそうです。
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