最初の投資信託はひどかった!今とは比べ物にならない粗悪品

イギリス

世界の歴史はイギリスから動くなどといわれますが、投資信託の世界も同様です。

世界で最初の投資信託は今から約150年前、1868年にイギリスで産声をあげました。

しかし、現在の投資信託のようには洗練されておらず、ほとんど粗悪品ともいえるような代物だったのです。






世界はイギリスから動く


イギリスで最初に生まれた投資信託はファンド発足時に債券を組み入れ、途中で売買することなく、満期まで保有する固定投資型投資信託と呼ばれるものでした。

小口で買えるというメリット以外、これといったメリットは感じられず、債券をそのまま保有するのとなんら変わらない代物です。

しかしその後、徐々に銘柄を入れ替える投資信託が普及していくこととなりました。

転機となったのは1890年のベアリング恐慌(※1)です。

この恐慌時の投資信託の運用失敗からその後、分散投資が徹底されていきました。

(※2)ベアリング恐慌
1890年、アルゼンチンの財政破綻をきっかけに始まった経済危機。


イギリスから世界へ


イギリスで生まれた投資信託はやがて世界に広がっていきます。当時、大発展をとげていたアメリカにも当然投資信託が誕生することとなります。

しかし、アメリカはイギリスの失敗から学びませんでした。

1929年の世界大恐慌前、アメリカではクローズドエンド会社型ファンド(※2)が主流だったわけですが、これらの投資信託は社債を発行し、調達した資金でレバレッジをかけた株式投資を行っていました。

なんと資本金の20倍もの資金を借り入れて株式投資を行っていたファンドもあったのでした。

そして世界大恐慌が勃発。

それらのファンドのうち、ひどいものはなんと40分の1の価格にまで大暴落してしまうという悲惨な顛末となってしまいました。

100万円投資して、2万5千円になってしまったようなものです。専門家に任した投資信託での運用でこのありさまですから投資家はたまったものではありません。

(※2)クローズドエンド会社型ファンド
クローズド・エンドとは、発行者が投資家の請求による解約に応じないファンド形態をさす。会社型は、ファンド自体が株式会社形態をとり、証券取引所で売買される。


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投資信託、アメリカで一時愛想を尽かされる


こうしてアメリカでは投資信託は愛想を尽かされたわけでして、その後は安全な運用を目指すべく、銘柄の入れ替えを行わない、レバレッジをきかせない固定的単位型投資信託といわれるものが主流となります。

しかし、大恐慌で、それらのファンドすら値下がりが止まらない・・・。

そして振り子は再び振れ、銘柄入れ替えの必要性が見直されるといった具合で、さまざまな紆余曲折を経て今日に至っているというわけです。

日本のガラパゴス的投資信託市場


日本の投資信託市場はどうでしょう。

日本は世界の流れとは幾分違うガラパゴス的進化を遂げてきたといえるでしょう。

その典型が毎月分配型の投資信託です。

アインシュタインも感心したという複利効果を捨て、その場限りの刹那的分配金を受け取る毎月分配型投信。

再投資をしているとしても、いったんファンドの外に出る際には、儲かっていれば分配金から税金が持っていかれるので複利効果は減少します。

損をするために投資信託を買う人はともかく(いないと思うが)、利益を求めて投資信託で運用するうえで、有利であるはずの複利効果を捨て、非効率な運用をしているとしか思えない。

最近ようやくそのことに気が付いた人が多くなっているのは救いだとはいえます。

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