中国の割り切り電気自動車(EV)。日本の自動車業界は相対的に存在感を無くす

電気自動車

中国の地方都市で、日本の軽自動車を思い起こさせるような小型の電気自動車が販売を伸ばしています。

魅力はなんといってもその安さ。

1台50万円ちょっとでEVが買えるっていうのは驚異です。しかも安かろう悪かろうを逆手にとったような絶妙な戦略で消費者の注目を集めています。

品質重視の日本メーカーには決して真似のできない戦略であり、今後自動車はこだわりのある高級車と単なる移動手段としての道具に二極化していくものと思われます。

中途半端な存在で規模の小さなメーカーに生き残りの枠は残っていません。






格安EV、しかし侮れず


2020年7月に中国の自動車メーカーが販売を開始した格安EVが順調に売り上げを伸ばしています。

売上を伸ばしている要因はなんといってもその価格です。なんと50万円程度で電気自動車が手に入るのです。

無論、価格が安いだけに贅沢はいえません。しかし、ちょっとした街乗り程度であれば十分の性能を有しており馬鹿にすることはできません。

現状(2021年12月)、中国で1か月4万台あまりが出荷されており、かなりの人気を博しています。

車種別のEV販売数ではテスラを抑えてトップなのです。

低価格の源泉


それにしてもなぜそんな低価格を実現できたのでしょうか。

そこには不要なものは切り捨てるという割り切りの精神が垣間見えます。

通常、EVは減速時のエネルギーをバッテリーに戻し、電力を蓄えて航続距離を延ばします。

しかし、この格安EVには回生ブレーキと呼ばれる上記の仕組みはついていません。

これにより航続距離は短くなるものの、大幅なコストダウンが可能となりました。

ちなみに航続距離は一回のフル充電で170キロ程度ということですが、ちょっとした街乗り程度なら我慢できる範囲だといえるのでしょう。

発想の転換で弱みを強みに


また搭載する電装部品は家電製品などで使われている汎用品を多く使用し、徹底的にコストダウンを図っています。

このような電装品は当然耐久性に劣るため、交換のサイクルが早くなる。しかし、それは織り込み済みであり部品交換が簡単にできるような設計が当初からなされています。

いわば故障してもすぐ直せる、故障を前提としたクルマであるということです。

中国のCASE革命 2035年のモビリティ未来図 [ 湯 進 ]

価格:2,200円
(2021/12/23 22:37時点)



日本の部品メーカーに出る幕なし


日本の自動車メーカーのみならず部品メーカーにも脅威なのは、この格安EVには一切日本製品が使われていないことです。

モーターからバッテリーまですべてが中国製。半導体は一部海外のものが使用されているようですが、日本製ではありません。

今後、中国の自動車メーカーが自前でEVを開発、拡販していけば日本の自動車メーカーのみならず、部品メーカーすら出る幕がなくなることになります。

危機は確実に迫る


トヨタが手のひらを返したようにEVに4兆円を投資すると報じられたのはご存じのとおり。

しかし、EV市場でトヨタが差別化を図ることは難しい。EVは部品の寄せ集めであり、職人芸的な技術は不要となります。

EV化が急速に進む中、自動車産業による一本足打法の日本はその一本足をもなくしてしまいかねない危機が迫ってきています。

【関連記事】
メルセデスの基幹部品が中国製!?自動車業界下剋上
東南アジアの日本車の圧倒的シェアも切り崩される
電気自動車って何かメリットあるの?日本市場はガラパゴス化へ
アメリカでもガソリン車駆逐の動き。自動車業界視界不良
ドイツ、電気自動車に負けて伝統を捨てるか?
CASEで世界の自動車販売は減少へ
ルール変更で日本、ドイツは自動車小国になるかもしれない
誰も望んでいない電気自動車が強制される不思議
恐るべき巨大衰退産業、自動車業界

↓↓応援クリックお願いします↓↓

にほんブログ村

自動車 新常態(ニューノーマル) CASE/MaaSの新たな覇者 [ 中西 孝樹 ]

価格:1,870円
(2021/12/23 22:41時点)






関連記事

コメント

非公開コメント