購買力平価から考える円安の限界と反動円高の目安

円

2021年末から円安が一気に進み、一時1ドル116円台まで突入。

5年ぶりの円安水準となりました。今後の為替市場はどうなっていくのか?

中長期的観点から考えてみたいと思います。






最近の円安要因


そもそもここ最近の円安要因は何なのでしょうか。

要因としてはやはりFRBによるテーパリングの影響が大きい。

市場筋ではアメリカは今年あと数回の利上げが予想されている一方で、日本は引き続きゼロ金利政策から脱却できません。

なにしろエネルギーと生鮮食品を除いたコアコアCPI(消費者物価指数)がアメリカは4%程度上昇しているのに対し、日本はマイナス0.6%。

日本で物価が上がっているのはガソリンや食料品などだけで、その他の耐久消費材などは値下がり傾向が続いており今だデフレから脱却できていません。

そして当然日米の金利差は拡大する見通しが立つわけです。

金は水と違って低きから高きに流れる。

相対的に高い米金利を求めて、円売り、ドル買いの動きが加速しているのが現状の姿です。

黒田日銀も力尽きそう


一方でこの流れにブレーキがかかるという見方も出ています。それは12月の日銀の金融政策決定会合の結果に基づくものです。

新型コロナの対策縮小が打ち出され、今後、日本のマネタリーベースが急減するのではないかという懸念が出てきています。

お金もモノと同様に少ないものは高くなる。

リーマンショック後の日本銀行の不作為による超円高が思い出されます。

リーマンショック後、世界各国は強烈にマネタリーベースを増やして市場に血液を送り込んだわけですが、白川日銀は知らぬ存ぜぬの冷酷非情な対応に終始しました。

リーマンショックとマネタリーベース


以下はリーマンショック前後のマネタリーベースの推移を表しています。

20210106base.jpg
(出所:ニッポンの数字)

白川日銀がいかに無為無策、そして無能であったかがよくわかる。そして黒田日銀が2013年一気にマネタリーベースを増やしたかもよくわかります。

白川日銀による失策が招いたのは異様なまでの円高です。

20210106kawase.jpg
(出所:社会実情データ図録)

1ドル70円台にまで超円高が進行し、日本の製造業の多くが海外に逃避せざるをえなくなりました。そして日本の衰退を招いたことは明らかです。

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購買力平価に基づく考察


ところで、昨今の為替動向をどう考えたらよいのか?持論を展開してみたい。

それは外国為替相場は長期的には購買力平価に収束していくというものです。

購買力平価は「消費者物価」「企業物価」「輸出物価」の3種類で計算されています。そして、経験則として以下の傾向が挙げられます。

・消費者物価指数まで円安となることはまずない。
・輸出物価指数まで円高となることはまずない。
・企業物価指数を仲値と考えることができそう。

それでは購買力平価に基づく為替相場を見てみましょう。

20210106kawase2.jpg

2021年11月までのデータとなりますが、現状消費者物価指数を超えた円安に達しており、円安は限界水準に近いと考えます。

短期的にはアメリカのテーパリングの影響もあり、円高に振れる可能性は小さいものの、これ以上大きく円安に振れることはなかろうと推測します。

中長期的には100円近辺まで円高に戻る可能性は十分にあろうというのが先入観と偏見に基づく個人の感想です。

最後に


黒田日銀総裁の任期は2023年4月までであり、あと1年少々。

最近は何かくたびれたというか、あきらめたというか覇気も無くなってきたように感じるのは気のせいか。

とにかくまだ1年以上ありますのでインフレ目標達成に向けてがんばっていただきたいものです。

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