国内リートはなぜ冴えない展開が続くのか?その理由

ビル

2021年夏ごろまでJリートも世界のリートに負けず劣らずの反発で上昇を続けていたのであります。

ところが夏からはぱったり・・・。

欧米のリートがさらなる値上がりを続ける中、Jリートは横ばいどころか右肩下がり傾向になってしまいました。

いったいJリートの不調は何が原因なのでしょうか。






アメリカと日本ではリートの値動きが違う


以下はアメリカのリート指数の値動きです。

20220115USreit.jpg

コロナ騒動が起こる前をはるかに上回る水準となっており、右肩上がり傾向であるのがよくわかる。

そして、以下が東証リート指数の値動きです。

20220115Jreit.jpg

2021年半ばをピークに右肩下がり傾向となっており、アメリカとは対照的です。

いったいこの違いは何なのでしょうか?

日本は今だデフレ病で物価は上昇しにくい


理由はいくつか考えられます。

まずはアメリカをはじめとした海外では物価上昇が続いておりますが、日本はエネルギーや食料品以外では物価上昇の傾向はみられず相変わらずデフレ傾向が続いています。

以下は2020年の主要国の物価上昇率です。

20220115bukka.jpg
(出所:グラフで見る世界の統計)

世界各国では賃金の上昇や資源の上昇が確実に物価に反映されているのに対し、日本は物価上昇に結び付かない。

デフレ状況に慣れ切っており、皆が値上げに過敏な反応をするため、小売店も簡単には値上げできないのが現状です。

日本のデフレはかように病根が深いといえます。そしてこれは不動産の賃貸料も同じことです。
また、日本では不動産賃貸契約において長期での固定賃料制をとることが多く、物価が上昇しても賃料に反映されにくいという特徴があります。

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Jリートへの圧力


Jリート銘柄の関係者も上記の状況に危機感を抱いており、海外不動産への投資を考えるJリート銘柄も過去にはありました。

しかし、J投資家からの反発を食らって実現することは難しい。

なぜ反発するかといえば新たなリスク要因として為替変動リスクが加わるからです。

Jリートの投資口の過半数は国内金融機関が保有しています。

そしてこれら金融機関は不確実性が増すことを嫌う。なぜなら、国内では融資も伸びず、債券の利回りが低い中、為替リスクのない利回り商品としてJリートをとらえているからです。

安定した分配金を受け取り、為替変動リスクにさらされたくない、それが国内金融機関の本音であり、その圧力がJリートの海外不動産投資を妨げています。

新型コロナの影響で新たな傾向が


また、同じ日本国内でも地域によって状況が違うのは注目に値する。

ある運用会社の予想によれば今後5年間のオフィス賃料の伸び率は東京、大阪という巨大都市圏ではほとんど横ばいなのに対し、名古屋、福岡といった都市圏では10%弱の上昇が予想されています。

これはテレワークの進展により、賃料が高いメガロポリスにオフィスを構える必要性が薄くなってきたものと推測します。

今後のJリート投資においては、東京、大阪一極集中のリートは避けたほうがよいというのが個人的感想です。

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