オークンの法則は本当か?データで確認してみるの巻

実質GDPの成長率が高くなると失業率が低下するという負の相関のことを「オークンの法則」といいます。
しかし、経済の世界は株の世界同様、理論どおりには動かない。オークンの法則は真実なのでしょうか?
経済学という得たいの知れない学問
経済学は数学的に割り切って考えられるものではなく、心理学に近いと考えますが現実の経済学ではすべての人間の価値観は同じであるというありえない前提をもとに理論が構築されています。
しかし、人間は人それぞれ価値観ってものが違うもんです。
金儲けを第一に考える人もいれば、金よりも義理人情や楽しみを大事にする人もいます。
当然、実体経済は理論通りには動かないことが多い。
今回は上記のオークンの法則が現実社会において成り立っているのか検証してみたいと思います。
実際の数値で検証
以下は1991年から2020年までの実質GDP成長率と完全失業率をプロットしたグラフです。

横軸が実質GDP成長率、縦軸が完全失業率です。直線は近似値です。
近似値は右肩下がりとなっています。
このことは実質GDP成長率が高くなれば完全失業率は低くなることを示しています。これは実質GDP成長率と完全失業率が逆相関の関係にあるということです。
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相関係数はどうか
逆相関であることはわかりましたが、どの程度の相関係数となるのか計算したところ、-0.17となりました。
この数値をどう考えたらよいのか。
一般的に相関係数は以下のように考えることができます。
(相関係数の目安)
±0.7~1.0:かなり強い相関あり
±0.4~0.7:やや相関あり
±0.2~0.4:弱い相関あり
±0.0~0.2:ほとんど相関なし
±0.7~1.0:かなり強い相関あり
±0.4~0.7:やや相関あり
±0.2~0.4:弱い相関あり
±0.0~0.2:ほとんど相関なし
上記の目安からはわずかながらの相関がある程度といったところでしょうか。
もう少し強い相関関係があると予想しましたので、少々意外です。
最後に
とはいえ、実質GDPが成長すれば失業者が減ることは間違いない。
逆にいえば、GDPが成長しなければ失業者が増加するということであり、自殺者も増えるといえます。
巷間、脱成長などというキーワードで斎藤幸平なる人物がきれいごとを主張していますが、成長しなければ失業が増加して不幸になる人が増えるだけです。
こういったきれいごとを主張する人は自らは安全地帯にいるからこそ、他人を苦しめるような主張を展開することができる。典型的な自分さえ良ければいい的考え方だといえるでしょう。
オークンの法則は個人的に正しいと思いますし、正しいからには実現しなければ意味がない。
世の中、金がすべてとはいえないものの、金で多くの命が救われることもまた事実です。
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