「顧客=お金」をめぐる醜い争い。保険会社VS銀行

2022年、第一生命が銀行代理業に参入する予定です。これを警戒するのが既存の銀行。
自分たちのシマを荒らされないかと気が気ではないようです。
まるでヤクザの勢力争いであり、そこには顧客目線などなく、あるのは金儲けへのあくなき執着心だけなのです。
まさにお金をめぐって醜い抗争が繰り広げられているのです。
保険会社が銀行の代理店に!?
生命保険大手、第一生命が住信SBIネット銀行、楽天銀行の銀行代理業(※)に乗り出すといいます。
銀行代理業などとは聞きなれない。
いわば銀行の代理店ですが、それほど魅力的な業態でもなく、今まで注目されてこなかったといってよいでしょう。
それなのになぜ第一生命は銀行代理業に参入することを決意したのでしょうか。
どうやら銀行代理業そのものの魅力というよりも、単に預金の残高情報を利用して儲けようとしているだけのようです。
(※)銀行代理業
銀行代理業とは、銀行のために、預金等の契約の締結の代理又は媒介、資金の貸付け又は手形の割引の契約の締結の代理又は媒介、為替取引契約の締結の代理又は媒介のいずれかを行うものをいう。
銀行代理業とは、銀行のために、預金等の契約の締結の代理又は媒介、資金の貸付け又は手形の割引の契約の締結の代理又は媒介、為替取引契約の締結の代理又は媒介のいずれかを行うものをいう。
銀行代理業進出の真の目的
どういうことか?
第一生命は年間に約1兆5千億円もの保険金などを支払うといいます。
もちろん、支払先は銀行口座です。
第一生命は支払った保険金などがその後どのように動くのか、知る由もありません。ところが銀行は預金の残高をつかんでいます。
大きな金額が振り込まれれば、飯のタネといわんばかりに顧客にアタックし、保険や投資信託など手数料の高い商品を勧誘する。これが銀行のビジネスモデルの1つとなっています。
これを苦々しく眺めていたであろうのが保険会社というわけです。
そこで、自らが銀行代理業となることで、銀行と立場を同じくし、支払った保険金を再び何かの金融商品にしてもらって二度おいしい思いをしようというのが今回の銀行代理業への参入であろうと考えられます。
保険業界VS銀行業界
金融ビッグバンにより、金融業界の垣根は確実に低くなりました。
しかし、規制改革にありがちなのが、総論賛成各論反対という卑怯な態度です。
とりわけ銀行が保険を販売することに対する保険業界の反発と嫌がらせはすさまじく、わけのわからぬ複雑怪奇な規制を求めてきました。それは今なお続いています。
銀行で保険を買ったことのある人ならわかるでしょうが、通常の保険代理店では説明されないような理解しがたい説明を受けるはずです。
そんな難しいことは一般の顧客には理解できないし、迷惑でしかない。
保険会社と銀行の勢力争いに顧客は多大な迷惑を被っているといえます。
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銀行業界の反撃
銀行業界も反撃の狼煙を上げようとしています。
保険業界の嫌がらせともいえる保険窓口販売の規制緩和を求めていく方針です。もともと、優越的地位の濫用などは独占禁止法で禁止されており、さらに規制をかけることなど不要だというのが銀行業界の立場でしょう。
これに対して保険業界は真っ向から反発しており、今後の動向に注目です。
勝負の行方
今後の展開を予想してみると、きれいごとしかまかり通らない世の中では、保険会社の主張が当局に受け入れられる可能性が高いとみます。
保険業界が動かすお金は莫大であり、その政治力も強い。
保険業界による嫌がらせ規制は今後も当分続くものと予想します。
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