楽天証券。サービス精神旺盛すぎて投資信託、超薄利多売・・・

砂漠

いささかやり過ぎたこと、また投信市場の構造変化で楽天証券が路線変更を迫られています。

それにしてもここ最近の投信市場の劇的なコストダウンは、運用会社や証券会社そして投資家の予想をはるかに上回るものといってよく、その対応に頭を悩ませているようです。

いったいどんな変化が今起きているのでしょうか。






投資信託もネット販売が主役に


投資信託の販売においても株式同様、ネット販売が中心となっていくことは疑いようもありません。

以下は投資信託の業態別販売額の推移です。

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(出所:金融庁)

ネット証券が地方銀行を抜いてきました。その中でもひときわ気を吐いているのが楽天証券です。

なにしろ最近では証券業界のガリバー、野村証券の販売額を上回ったというのだから恐れ入る。

楽天証券躍進の原動力


その原動力となっているのは楽天経済圏です。投信の残高に応じてポイントを与える、そして楽天カードでクレジット決済にすればさらにポイント上乗せとあって、若者を中心に人気が集中しています。

それは投信保有顧客数の推移を見ればよくわかります。

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(出所:金融庁)

若年層ですので、一人あたりの金額は小さいのでしょうが、人数ベースで見ればネット証券が主役に躍り出るのは時間の問題です。

そして、人気を博しているのが投資信託の積立です。

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(出所:金融庁)

もはや積立型においてはネット証券が圧倒的シェアを誇ります。大手金融機関はお金にならない積立には興味がないのかもしれませんが、もしそうなら、20年後に愚かな考えであったことに気が付くでしょう。

投資信託の主役


現状、どんな投資信託が人気を博しているのでしょうか。

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(出所:金融庁)

世界株式、とりわけ米国株人気がすごい。ここ最近の金利低下で債券型の投資信託はすっかり人気を落としていることがわかります。

しかし、最近の株式市場を見ていればわかるようにこの動きは危うさをはらんでいるとしか思えません。

米国株一極投資はやがて大きな痛手を被る可能性もあります。

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楽天証券の読み違い


ところで楽天証券もいささかやり過ぎた感が出ています。

ポイント費用が膨らんで、利益率は2年前の半分以下に落ち込んでいます。これはポイント費用の増大のほかにももう一つの要因があります。

信託報酬率の劇的な低下です。

現在、投資信託で人気なのはインデックス型の投資信託です。

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(出所:金融庁)

指数に連動するように運用するだけですからコストは安上がりです。他のファンドと差別化できる点といったら信託報酬の率くらいしか残されていません。

その下げ方は想像以上であり、今や年率0.1%を切る投資信託もあります。これでは薄利多売とならざるを得ません。

この傾向は明らかにアメリカに追随するものです。

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(出所:金融庁)

最後に


投資信託の運用残高は2021年に164兆円にまで達し、過去最高となりました。

しかし、利益率が減少しているため、証券会社や運用会社の収益はそれほど増えておらず、いわば貧乏暇なしの消耗戦に陥っています。

投資家にとってはコスト低下はうれしい限りですが金融機関にとってはそうではない。

各金融機関にとってはこの消耗戦をいかに制すか、あるいは消耗戦から離脱できるかが喫緊の課題となっています。

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