日本のデフレ長期化を決定づけたマクロ経済モデルの採用ミス

日本経済は沈むことのない太陽だと勘違いしていたに違いない。
高度成長期を体感した世代には、バブル崩壊後の痛手を素直に受け入れられなかったと思われます。
そしてその勘違いはさらなるミスを生み、日本はますますデフレを加速させる政策を取ることとなりました。
さて大いなる勘違いをしたのはいったいどなただったのでしょうか。
固定観念の呪縛
日本は敗戦後に焼け野原から著しい経済成長を遂げたことは誰もが知っています。
石油ショック前までは年率10%近くの高成長を続け、その後もバブル崩壊まで4%程度の成長を続けました。

(出所:社会実情データ図録)
1960年代生まれくらいの人までは子ども時代に経済成長の恩恵を被っていたに違いない。
そして、経済は右肩上がりであるのが当たり前という考え方が脳に刷り込まれていたと思われます。
そうした世代には1990年初頭のバブル崩壊、そしてその後の低成長経済が受け入れ難いものであったことは容易に想像がつくのであります。
誤った方向性
これはおかしい、なんとかしなければってな具合でいろいろ考えたのでしょう。
そして、日本経済再生のために新たなマクロ経済モデルが採用されたのでした。
しかし、そのマクロ経済モデルはインフレ経済に悩む発展途上国のために有用なモデルであり、デフレに悩む日本が取り入れたら、ますますデフレが加速してしまうという真逆のモデルだったのでした。
発展途上国がなぜインフレに悩まされるのか。
それは国内に十分な生産能力がなく、かといって輸入で賄うこともできないためにモノ不足に陥り、通貨よりもモノの価値が異常に上がってしまうためです。
デフレの日本はまったく逆であり、十分な生産能力があるにもかかわらず、需要が少ないためにモノがあふれ、通貨の価値が異常に上がるという状態でした。
その日本にインフレ対策のマクロ経済モデルを持ち込んだのですから失敗するのは至極当然の結果でした。
国会答弁に採用者の名前が
このマクロ経済モデルが採用されたのは2001年11月。
そして誰が採用したのか、2014年3月の国会答弁にその答えはありました。
(前略)
○西田昌司君
是非そういう思いで、足らない場合はまたもっと追加の補正をやってでもやっぱり景気の下支えを、これははっきりGDPに効果があるのは公共って出ているんですからやっていただきたい。
ところが、ちょっと問題は、下の図を見ていただきたいんですね。この間、二十一世紀になりましてから公共事業はどんどん減らしているんですけれども、何で減らしてきたかと。
これははっきりしていまして、内閣府が出しているこの資料、これは一番下のやつなんですが、公共事業をやってもGDP伸びないんですね、大して。
ところが、ほかのマクロ経済モデル、これは民間が使っているやつでも全部どんどん伸びることになっているんですよ。何でこうなっているのかということを私はちょっと聞きたいんですね。
このマクロ経済モデルが二〇〇一年に変更されたというふうに聞くんですが、これはどういう経緯で、どの内閣のどの大臣のときにこういうことになったのか、ちょっと説明してください。
●政府参考人(豊田欣吾君)
現在、内閣府が中期展望作業の際に使用しております経済財政モデルでございますけれども、中央省庁再編に伴って設置されました経済財政諮問会議等における政策の審議、検討に寄与することを目的として開発され、二〇〇一年十一月に公表されたものであります。
それまでの中期分析用の計量モデルに対しまして、マクロ経済、国及び地方の財政、社会保障が一体となって構築されているという特徴を有するものでございます。
この経済財政モデルでございますが、公表した時点の内閣は小泉内閣でございまして、そのときの担当大臣は竹中大臣でございました。
○西田昌司君
まあそういうことなんですよ。これはつまり何かといいますと、これは、大事なのは、経済、財政を一体化させると言っているんですよ。
これは何のために作ったかというと、要するにIMFモデルなんですね。IMFが、国際通貨基金が、アジアの金融、この熱くなったのが一挙に破裂したと、それを立て直すときにできるだけ政府予算を小さくする、そのために作ったのがこのモデルですよ。
要するに、それはインフレからの脱却のためのモデルなんですよ。インフレからの脱却のモデルを今、日本で使うとデフレになるのは当たり前じゃないですか、これ。麻生大臣、うなずいておられます。これ、変えるべきじゃないですか、どうですか。
(後略)
○西田昌司君
是非そういう思いで、足らない場合はまたもっと追加の補正をやってでもやっぱり景気の下支えを、これははっきりGDPに効果があるのは公共って出ているんですからやっていただきたい。
ところが、ちょっと問題は、下の図を見ていただきたいんですね。この間、二十一世紀になりましてから公共事業はどんどん減らしているんですけれども、何で減らしてきたかと。
これははっきりしていまして、内閣府が出しているこの資料、これは一番下のやつなんですが、公共事業をやってもGDP伸びないんですね、大して。
ところが、ほかのマクロ経済モデル、これは民間が使っているやつでも全部どんどん伸びることになっているんですよ。何でこうなっているのかということを私はちょっと聞きたいんですね。
このマクロ経済モデルが二〇〇一年に変更されたというふうに聞くんですが、これはどういう経緯で、どの内閣のどの大臣のときにこういうことになったのか、ちょっと説明してください。
●政府参考人(豊田欣吾君)
現在、内閣府が中期展望作業の際に使用しております経済財政モデルでございますけれども、中央省庁再編に伴って設置されました経済財政諮問会議等における政策の審議、検討に寄与することを目的として開発され、二〇〇一年十一月に公表されたものであります。
それまでの中期分析用の計量モデルに対しまして、マクロ経済、国及び地方の財政、社会保障が一体となって構築されているという特徴を有するものでございます。
この経済財政モデルでございますが、公表した時点の内閣は小泉内閣でございまして、そのときの担当大臣は竹中大臣でございました。
○西田昌司君
まあそういうことなんですよ。これはつまり何かといいますと、これは、大事なのは、経済、財政を一体化させると言っているんですよ。
これは何のために作ったかというと、要するにIMFモデルなんですね。IMFが、国際通貨基金が、アジアの金融、この熱くなったのが一挙に破裂したと、それを立て直すときにできるだけ政府予算を小さくする、そのために作ったのがこのモデルですよ。
要するに、それはインフレからの脱却のためのモデルなんですよ。インフレからの脱却のモデルを今、日本で使うとデフレになるのは当たり前じゃないですか、これ。麻生大臣、うなずいておられます。これ、変えるべきじゃないですか、どうですか。
(後略)
詳細を知りたい方は以下で調べてみてください。
国会会議録検索システム
https://kokkai.ndl.go.jp
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誤った前提からは誤った結論しか出ない
発展途上国型のマクロ経済モデルの採用により、需要を刺激する政策には後ろ向きになります。
具体的には公共事業です。
公共事業をやれば需要が増えるわけですが、需要に応えられずにインフレが加速するという結論に至るマクロ経済モデルでは公共事業は意味がないという結果になります。
そしてますますデフレギャップが大きくなりデフレが加速するというデフレスパイラルが起こりました。
公共事業が2001年以降急減していることがわかります。

(出所:社会実情データ図録)
さて、有名な竹中平蔵氏ですが、反日であるとか国賊であるとかボロカスにいわれることが多い。
しかし、個人的見解として竹中氏が反日であるとはとても思えない。ただ単に経済学者としての先見性がなく、失敗しただけのように見えます。
しかしそれは許されざる失敗だったといっても過言ではありません。
最後に
問題なのはそのような失敗をしたにもかかわらず、今だに政府の諮問機関に名を連ねていることです。
例えば、デジタル田園都市国家構想実現会議。
ちゃっかりとそのメンバーに収まっているのです。許されざる失敗をしたことは自身も先刻承知のはず。
なのに今だに政府に関わり続けることに恥を感じないのでしょうか。
そこが不思議でならないのです。
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