上がらない最低賃金。アメリカ経済の闇

アメリカ

世界一のGDPを誇るアメリカ。一人当たりのGDPでも日本を大きく上回ります。

そのうえ人口が多いのですから、日本は引き離されるばかりです。

当然、アメリカは賃金も高いと思いきや、意外にも最低賃金は思いのほか低く、アメリカ経済の闇を見るかのようなのです。






驚くべきアメリカの最低賃金


以下は世界主要国の一人あたりの名目GDPの推移です。

20220130GDP.png
(出所:世界経済のネタ帳)

アメリカは日本の約1.8倍で順調に右肩上がりを続けており、停滞を続ける日本とは対照的です。

さぞや賃金も高いだろうと思いきや、アメリカの最低賃金はここ十数年上がっておらず、しかもその金額は7ドル25セントといいます。

日本円にして約820円程度とびっくりするほど低い。

ただし、各州によって定められた最低賃金もあるため、州によってまちまちではあります。

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(出所:Wikipedia)

それにしても820円は日本よりも安いのではなかろうか。

以下は各県の平均を加重平均した日本の最低賃金の推移です。

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(出所:内閣官房)

ほぼほぼアメリカと同様といったイメージです。

最低賃金を据え置く理由


アメリカは一人あたりのGDPも大きいのにいったいなぜ?という疑問が湧いてきます。

最近の調査ではアメリカでは物価上昇が激しくなっており、最低賃金では賃貸物件の賃料も払えない状況だというのにです。

そこで最低賃金を15ドルに上げようという動きがあるのですが、バイデン政権はそれをしない。

なぜしないのか?

憶測ですが産業界からの要請があるのではないかというのが個人的考えです。

以下は世界の最低賃金がフルタイム労働者がもらう賃金の中央値の何%となっているか、その推移を示したものです。

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(出所:社会実情データ図録)

1985年以降、ずっと4割を下回っており、ここ最近は右肩下がりで世界最低水準であることがわかります。

とにかく安い労働力は確保しておきたいというのがアメリカの経営者や株主の本音なのではないでしょうか。

安価な労働力で国際競争力を確保しながら、大企業は利益を上げて株価を吊り上げ、儲かるのは経営者と株主だけというのが現代のアメリカ社会です。

富める者と貧しき者が分断され、富める者は貧しき者から搾取しているという構図なのです。

この構図が明らかになっているからこそ、今の若者にあの悪名高い共産主義を受け入れられやすい環境が整いつつあるといえます。

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医療保険制度もまた深い闇


アメリカの闇はコロナ禍でも浮き彫りとなりました。

医療保険です。

日本は年収に応じて負担する保険料が変わるという素晴らしい国民皆保険制度をもっています。

しかし、アメリカにはない。

アメリカでは新型コロナで80万人以上が亡くなったとされていますが、そのうち3割は十分な医療を受けられなかったゆえに死亡したと見られています。

またアメリカの個人の破産の3分の2は医療破産というのですから、アメリカの平均寿命が短命化しつつあるのもうなづけるというものです。

最後に


アメリカ社会もまた病んでいる。そして、そのアメリカを手本として混迷しているのが今の日本といえると思います。

アメリカの真似をしたら不幸な人がさらに増える。そう思わざるを得ません。

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