IPOで独禁法違反の疑い!?えー今さら何だよ~~~

取引所

IPO(株式新規公開)で抽選に当たれば初値で儲けることができる。こんなことは長年続いてきたことであり、何の疑念も抱かなかったのであります。

ところがどっこい、2021年12月28日、公正取引委員会がまとめたIPO時の株式公開価格に関する報告書では、現行の仕組みが独禁法違反の恐れがあるというのです。

もう20年以上も続いてきた慣習が今さらなぜ?と不思議に思わざるを得ません。






IPO銘柄は主幹事の言いなり!?


公正取引委員会が指摘したのは、強い立場にある主幹事証券が一方的に公募価格を設定しており、これは優越的地位の濫用にあたるのではないかという点です。

新規上場する企業にとって、公募価格が高ければより多くの資金調達ができる。その道を主幹事証券が強い立場を利用して閉ざしているのではないかという指摘です。

公正取引委員会は最近1年間で上場した会社、そして主幹事証券となった証券会社を調査し、今回の結論に至っています。

ちなみに令和2年(2020年)の主幹事証券実績は以下のとおりです。

20220131syukannji.jpg
(出所:公正取引委員会)

新規上場会社の恨み節


確かにIPO銘柄は上場初値が公募価格を上回ることが多いことは確かです。

概ね1.5倍となるのが普通であり、欧米よりも高くなっているという現実があります。上場する企業の側からすれば、もっと高い値段で株式を募集してくれれば、より多くの資金調達ができるのにという歯がゆさがあるのでしょう。

調査によれば新規上場企業の9割以上が、公募価格の決定を主導したのは主幹事証券であると認識していたということです。

被害者意識はあるものの、主幹事の言うことを聞かなければ上場することができないからやむを得ないといったところなのでしょう。

それが今回の優越的地位の濫用という指摘につながったと考えられます。

IPOディスカウントの合理性


なぜIPO銘柄の公募価格は低く設定されるのか?

それには一定の合理性もあります。IPOディスカウントという商慣習であり、新規上場する銘柄は情報が少ないだけにリスクも高い、それゆえに既存の上場銘柄に比べて、株価を安く見積もってバランスを保とうというわけです。

真っ当な考え方ではないでしょうか。

要は程度の問題なのでしょう。IPOディスカウントの割引率は20%から30%程度で6割を占めるというのですから確かに割引率が大きすぎる感はあります。

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1年も経てば公募価格割れも多く・・・


IPO銘柄の初値は高いことが多い。しかし、問題はIPOをしてからです。1年後には公募価格を下回る銘柄が3,4割を占めるのですから、公募価格が必ずしも安すぎるともいえないという現実があります。

また、公募価格に割安感がなければ投資家からそっぽを向かれ、思うような資金調達ができなくなる可能性もあります。

そうなればIPOの魅力が薄れ、上場を目指す企業が減り、新たな産業が育たなくなる可能性すらあります。

最後に


繰り返しますが要はバランスの問題だと思います。

今までの慣行が全て悪いとは思えない。それなりの合理性があったからこそ続いてきたといえます。

それを公正取引委員会の指摘で手の平を返したように仕組みを変えたら、日本の株式市場が停滞し、新たな成長産業が育たなくなる恐れがあると考えます。

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