夢なき若者。若いときから老後に備えるという超現実思考

若者の平均消費性向(※)が下がり続けています。世帯主が29歳未満の勤労平均世帯の平均消費性向は2019年にはなんと55.3%にまで低下しました。
可処分所得の半分近くを貯蓄に回しているという計算であり、若いうちから夢を持たず、老後に備えるという超現実的で夢のない若者の姿が浮かび上がります。
もはや若年寄ともいえるような思考回路と行動パターンで、アホな中年オヤジにはとても理解しがたく、何とも虚しく感じられるのであります。
(※)平均消費性向
可処分所得に対する消費支出の割合を指し、世帯の消費意欲を示す指標として用いられる。
平均消費性向の低迷
以下はバブル崩壊前からの年齢別消費性向の推移です。

(出所:消費者庁)
若者の平均消費性向が低下傾向にあることがわかります。とりわけ2014年は下がっており、現状ではそこからさらに下がっていると考えられます。
金額ベースでも減少するという悲しさ
平均消費性向が下がったのはひょっとして賃金が上昇したためではないかという可能性もあるのではなかろうか。
しかし、そんな考えは一瞬にして吹き飛びました。
以下は1か月あたりの消費支出額の推移です。

(出所:消費者庁)
賃金が上がっていないのに消費性向が下がるとともに支出額も減少しているのです。
ひたすら家計が縮小均衡していることがわかります。要するに賃金が伸びない中で消費を減らして貯蓄に励むという守りの姿勢を強めていることがわかります。
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消費性向低迷の要因
それにしても消費性向の右肩下がりの原因は何か。2014年といえば消費税が5%から8%になった年です。
若年層を中心として、政府の馬鹿さ加減に失望し、貯蓄に励むという行動に走ったものと推測されます。
しかし、貯蓄に励めば励むほど、個人消費が低迷して需要は減退します。
まさに合成の誤謬です。民間(個人や企業)が合成の誤謬にはまるのは致し方がない。そうしなければ生き残ることができないからです。
極めて合理的な行動だといえるでしょう。
最後の消費者にも期待できず
そこで期待されるのが政府の需要拡大です。
公共事業などの財政支出を拡大し、合成の誤謬の穴を埋め合わせなければならない。政府こそが最後の消費者といえます。
しかし、日本政府は最後の消費者としての立場をとることはありませんでした。むしろ民間と同じく合成の誤謬の罠にはまっているといってよい。
それゆえ今だ世界に取り残されてデフレが継続しています。
岸田政権は当初こそ、新自由主義からの脱却だか、令和の所得倍増だとか、ホラを吹いていたわけですが、結局のところ噓八百であり、財務省の言いなり政権であることが露呈しつつあります。
日本の景気は今後もしばらく回復しそうにないというのが個人的見解です。
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