転職市場に変調あり。キーワードはデジタルトランスフォーメーション

デジタル

コロナ禍が続いておりますが、転職市場は意外にも堅調です。

しかし、すべての業界が好調というわけではありません。今、完全な売り手市場となっているのはIT技術に長けたデジタル人材です。

高度なスキルを持つシステムエンジニアなどは引く手あまたであり、年収アップの転職が可能となっています。






転職で収入アップ者増える


リクルートの調査によれば、2021年10月から12月に転職し賃金が増加した人の比率が31.5%となったということです。

これは調査を始めた2002年以来、最も高い数値であり転職によってキャリアアップした人が多くなっているというわけです。

しかし、このコロナ禍でなぜ?という疑問が湧いてくるのは当然のことでしょう。

有効求人倍率はコロナ騒動で大きく下落しているのにです。

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(出所:ニッポンの数字)

求人が減少しているのに転職して収入がアップするとは矛盾ではないかと考えるのが普通でしょう。

キーワードはデジタルトランスフォーメーション(DX)


その答えはデジタルトランスフォーメーション(DX)(※)にありました。

コロナ禍で急速に世の中のデジタル化が進む中、IT人材が不足しているという実態があります。

転職で収入が1割以上増加した人の割合の実に36.2%をIT人材が占めており、ITスキルを持つ人の一人勝ちといってよい。

それは職種別の労働力過不足の状況を見れば明らかです。

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(出所:社会実情データ図録)

専門的な技術が必要な職種の人手不足が圧倒的に高いことがわかります。

その一方で、事務職や管理職などの不足感は低い。これらの仕事はAIやRPAなどの技術に取って代わられることが明らかであるからだと思われます。

経済産業省の試算では、今後もIT人材の不足が長期にわたって継続することが示唆されています。

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(出所:経済産業省)

(※)デジタルトランスフォーメーション(DX)
ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるという概念。日本におけるDXは、2018年に経済産業省が「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」を取りまとめたことを契機に広がり始めた。





ITスキルが将来の明暗を分ける


これから進学したり就職したりする人はITスキルを磨いておいたほうがよいことは明らかです。

不況時には労働の経験がない若年層がその煽りを最も受けます。熟練した労働者を解雇するよりも採用を絞ったほうが企業の競争力を保てることは自明の理だからです。

(参考)年齢別失業率推移
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(出所:社会実情データ図録)

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最近の若者は~の嘘


ところで、昨今の若者は仕事をすぐに辞めてしまうとか、忍耐力がないとか、イメージで語られることが多いわけですが、データを見ると必ずしもそうではないことがわかります。

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(出所:社会実情データ図録)

バブル期からデフレ期にかけて景気の浮沈がすさまじかったわけですが、多少の増減はあるものの大卒の3年以内離職率は一貫して3割程度です。

デフレで経済が低迷している中、終身雇用を望む若者はむしろ増加傾向にあるといえます。

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(出所:社会実情データ図録)

景気が多少持ち直した第二次安倍政権以降は再び転職志向が多少高まっており、景気によって若者の考え方は大きく左右されることがわかります。

次期日銀総裁が日本の運命を左右する


第二次安倍政権以降、求人倍率は大きく上昇したわけですが、これは黒田バズーカによる大規模金融緩和による円安効果もさることながら、単に生産年齢人口が減少したために人手不足になっただけという要因もあります。

第二次安倍政権時は1947年から1949年のベビーブームで生まれた団塊の世代が65歳を迎える時期と重なり、必然的に労働力が減少したために人手不足に陥ったといえます。

その点で安倍政権は運に恵まれ、アベノマスクいやアベノミクスは金融緩和以外にほとんど何もしていないのに追い風に救われたといってよい。

(参考)
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(出所:厚生労働省)

現日銀総裁である黒田総裁の任期は2023年4月までです。

岸田政権には多くを期待できない中、日本を支えてきた2013年以降の日銀の異次元金融緩和がどうなるのか。それは次期日銀総裁の手に委ねられています。

次期総裁に前総裁の白川氏のような事なかれ主義者が就けば、日本経済はますます沈没していくことは間違いないと見ます。

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