胴元が確実に勝ち逃げる。仕組債という罠

相場の変調によりメッキが剥がれたというべきか。仕組債をめぐるトラブルが増加しています。
仕組債という商品、問題が多い商品であり、金融工学を学んだことのない投資家が買うような商品ではありません。
そもそも金融工学などという学問は専門的であり、一般の投資家には縁遠いものでしょう。よって、ほぼ100%近くの投資家は仕組債などという投資家をカモる商品は買うべきではないという結論に至らざるを得ません。
仕組債のトラブル増加中
金融商品をめぐる紛争のあっせんを行うFINMAC(※)の紛争解決手続きにおいて、2021年9月までの1年間で仕組債が38%をも占め、トップとなっています。
その原因はなんといってもコロナ相場による相場の乱調です。
仕組債は債券の名がついているので、満期になれば投資元本が返ってくると勘違いしやすいですが、株価指数や個別株の動向に左右され、株価が下落してあらかじめ定められた価格を割り込むなど、一定の条件に該当すると投資元本が戻ってこない可能性が高くなります。
(※)FINMAC
金融商品取引法に基づく指定紛争解決機関(金融ADR機関)。金融商品取引について、証券会社などの顧客からの、業務に関する相談、苦情の受付及び紛争解決のあっせんを行うNPO法人。
金融商品取引法に基づく指定紛争解決機関(金融ADR機関)。金融商品取引について、証券会社などの顧客からの、業務に関する相談、苦情の受付及び紛争解決のあっせんを行うNPO法人。
以下は金融庁に寄せられた金融サービスに関する相談受付状況です(令和3年7月~9月)。

(出所:金融庁)
前期比に比べ、投資商品に関する相談の増加が目立ちます。この中には仕組債の相談が多く含まれるのではないかと推測します。
投資家に不利な早期償還条項
この仕組債の大きな問題点は、多くの場合「早期償還条項」がついている点です。
株価が一定以上上昇した場合は、当初の償還期限を前倒しし、早期に償還させてしまうのです。
その目的はもちろん高い金利を払いたくないためにほかならない。
投資家としては長期間高い利払いをもらいたいところですが、そうは問屋が卸さないというわけです。
![]() | 価格:1,760円 |

早期償還条項で何度もボッタクリ可能
さらに早期償還条項が悪質なのは、その償還金を使って、新たな仕組債に乗り換えさせることも目的としていることが容易に推察できることです。
そうすれば、販売会社は何度も高い手数料をふんだくることができる。
投資家が損をすれば自己責任で知らん顔、得をすればなるべく早く償還させて販売会社の損を回避するという胴元勝ち逃げ商品なのです。
仕組債で販売会社がいくら手数料を抜いているのかは投資家には一切開示されず、金融工学に長けていなければわかりようがない。
そしてその手数料は投資信託に比べて格段に高いというのが一般的であり、投資家不利、販売会社有利の悪質商品だといえるでしょう。
高齢者に販売するなどもってのほか
さらに悪質だと思えるのは、そんな複雑怪奇でボッタクリの商品を高齢者に売りまくっていることです。
FINMACの紛争解決手続きにおいて目立つのは70歳代、あるいは80歳代の高齢者です。
一般的に言って高齢者がそんな商品を正確に理解できるとは思えない。良いことばかり並べ立てて手数料稼ぎをしているとしか考えられないのです。
金融当局は仕組債について規制を厳しくすべきだし、高齢者には勧誘禁止とすべきだと考えるのは私だけではないと思います。
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