日本の苦悩はアメリカの苦悩と驚くほど似ている。グローバリズムの洗礼

地球2

アメリカは株価も高いし、経済成長もしている。

さぞかし国民の暮らしは豊かであろうかと思えば、そうでもないというのが実態です。

かたや日本はバブル崩壊後から30年以上経つわけですが、今だバブル崩壊からデフレにつながる苦しみから抜け切れていません。

しかし、経済的な苦境に陥っているのは日本だけではなく、アメリカも似たような苦悩の中にいるのですから少々驚かされるのです。






金が金を生む社会


株価だけを見て国民の豊かさを語ることはできません。

アメリカは最近50年間でインフレ率が賃金の上昇率よりも高く、実質賃金がそれほど伸びていません(日本のように下落はしていないだけマシですが・・・)

なにより問題なのは所得が伸びているのは金持ちばかりだという現実です。

以下はアメリカの所得水準別の所得上昇率の推移です。

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(出所:内閣府)

金持ちはますます金持ちになっているのに、低所得者層は所得が増えない。これは格差が拡大していることを意味しています。

格差社会が着実に進行


以下は主要国のジニ係数(※)の推移を表しています。

20220216jini.jpg
(出所:厚生労働省)

主要国の中でもとりわけアメリカのジニ係数は高く、しかも右肩上がり傾向であることがわかります。じりじりと格差が拡大していることがわかります。

(※)ジニ係数
所得や資産の不平等さを表す指標。0~1の数値で表される。数値が大きいほど不平等が大きいことを示す。一般的に0.2~0.3程度が望ましいとされ、0.4を超えると格差が拡大しており、社会が不安定になって騒乱が起きやすくなるとされる。


あおりを食うのはいつも若者


若年層の失業も深刻です。

アメリカもヨーロッパ同様、若年層失業率が高い。それ以外の年代に比べ2倍以上の水準となっています。

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(出所:社会実情データ図録)

日本の若年層失業率が低下傾向にあるのは少子高齢化の影響と移民受入が少ないためであろうと考えられます。

そしてヨーロッパを中心に移民を積極的に受け入れた国の若年層失業率が高いことがわかります。

完全に職の椅子取りゲームによる低賃金化が進んでいるものと思われます。

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アメリカもまた学歴社会


日本は少子化と政府のケチケチ緊縮財政によりデフレ下でも大学の授業料はインフレでうなぎ上りに上昇しました。

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(データ出所:文部科学省)

しかし、アメリカの学費高騰は日本をもしのぐというのです。

そのため、アメリカの大学生の多くは学生ローンを借りて授業料を支払っており、学生ローンを抱えるアメリカ人はなんと4000万人にのぼると推計されています。

学歴社会は日本や韓国だけの話ではありません。アメリカでもまた学歴により格差があるのです。

以下はアメリカの学歴別労働参加率の推移です。

20220216roudou.jpg
(出所:内閣府)

大卒ならば4人に3人は就職できますが、高卒だと2人に1人という厳しい実態があります。

だから、高い授業料を払っても大学に行かざるを得ない。

そしてローンを抱えて支払いに難儀するというのは日本とまったく同じ構図です。

学生ローンで結婚もできず


学生ローンがあるために住宅ローンを借りられず、家も買えない。

だから親元から離れられないこどおじが多くなっている点も日米共通です。そして、ゆとりがないので結婚もなかなかできない。

アメリカの初婚年齢の平均は1950年くらいから上昇し始め、いまや男性が約30歳、女性が約28歳と日本とほとんど変わりません。

最後に


社会を取り巻く動きは日米ともに驚くほど似ています。

日本がアメリカの猿真似をしているだけなのか、その要因ははっきりしません。

ただ一ついえることは世界は極端に狭くなっており、グローバリズムが世界を均一化しているという事実です。

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