SOSiLA物流リート投資法人の資産運用報告から見る物流リートの現状

コロナ禍の影響などまったくないといってよい。
むしろ、追い風になっているという印象をもったのが住友商事系の物流リート、SOSiLA物流リート投資法人から届いた資産運用報告の内容でした。
コロナ禍ももうすぐ終わる。そして、その後どうなるのかが焦点となります。
高NAV倍率を利用して公募増資という強気
物流系リートの人気は依然として高いといえます。
その根拠として物流リートの高いNAV倍率(※)が挙げられます。
Jリート市場には現状(2022年2月)、9銘柄が上場しているわけですが、NAV倍率は最低が1.13倍、最高が1.34倍となっており、軒並み高い。
Jリート全体60数銘柄をみれば最低が0.61倍、最高が1.38倍であり、物流リートは資産価値よりも投資口価格が高く、人気を集めているといえます。
NAV倍率が高いときに増資をすれば、より効率的に大きな金額を集めることができる。
そしてその資金をさらに高利回りで運用できれば投資家にとっても成長を享受できることとなり、歓迎すべきことといえます。
SOSiLA物流リート投資法人(2979)は2021年12月に、上場後2度目となる公募増資を行って資産規模を拡大して1口当たり分配金の向上を実現しています。
(※)NAV倍率
不動産の時価に基づく不動産投資法人の純資産価格をNAV(Net Asset Value)といい、さらに投資口価格を投資口数1口あたりのNAVで割ったものをNAV倍率という。株式投資におけるPBRの概念に近い。NAV倍率が1倍を超えると不動産投信の実際の価値よりも市場での価格が高いと考えることができる。
不動産の時価に基づく不動産投資法人の純資産価格をNAV(Net Asset Value)といい、さらに投資口価格を投資口数1口あたりのNAVで割ったものをNAV倍率という。株式投資におけるPBRの概念に近い。NAV倍率が1倍を超えると不動産投信の実際の価値よりも市場での価格が高いと考えることができる。
物流系リートの強気
公募増資による積極投資により、SOSiLA物流リートの分配金は好調です。
次期2022年5月期の予想分配金は当初の予想をさらに28円上回り2550円となる予定です。
そして2022年11月期の予想分配金はさらに伸びて2654円の予想としています。
コロナ騒動の影響は皆無であり、むしろ追い風になっていると見てよさそうです。その要因は巣ごもり消費の増加です。
SOSiLA物流リートは、アフターコロナにおいてもこの流れが元に戻ることは無いと見ています。この見方の根拠は日本のEC比率は他の先進諸国に比べてそもそも低いというものです。
確かにデータを見ると日本のEC普及率は意外なほどに低い。
2020年のデータでは以下のようになっています。
・韓国 33.6%
・イギリス 28.0%
・中国 24.9%
・アメリカ 14.1%
・日本 8.1%
ホンマかいなというような数字ですが、SOSiLA物流リートの資産運用報告にはそのように記載されています。
高齢化が進んでいるせいか、日本人は慎重だから実際に商品を手に取ってみないと信用できないのか、その理由は定かではありません。
とにかく物流系リートがアフターコロナにおいても好調を維持できるかは、EC市場の動向によるといえると思います。
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実際の値動きはどうか
投資口価格の推移はどうなっているのでしょうか。
●SOSiLA物流リート投資法人(2979)

業績とは裏腹に投資口価格の動きはさえません。
もっともこれはJリート全体にいえることです。
●東証リート指数

昨年(2021年)の夏を天井に下落傾向が続いており、さえない展開です。
これは明らかに世界的なインフレ傾向による金利上昇が原因であると考えられます。それは日本の長期金利の推移を見てもわかります。

2021年の夏を底に上昇傾向にあることがわかります。
金利が上昇すれば相対的にJリートは魅力を失う。そして売られているといえます。
最後に
さて、Jリートは今、買いなのか売りなのでしょうか。
長期的な値動きを見てみましょう。
●東証リート指数

長い目で見ると現状の1900ポイント前後は必ずしも割安とはいえないものの、割高だとも思えない。中途半端な水準であるといえます。
1800ポイントを割ってくれば割安だといえるのではないでしょうか。
今年、1800ポイントを割ってくる局面があれば買いのタイミングだといえると思います。
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