米国株の下値目途。ゴールドマンサックスの不気味な警告

株式市場にも暗雲が立ち込めてまいりました。いよいよ新型コロナバブルは終わった可能性が高い。
株価は企業業績を裏付けとし、また業績を先読みし動きます。
目先の業績は好調なものの、今後の業績の落ち込みが想定されます。
株価下落要因は山のように
株価の足を引っ張る要因には事欠かない。
まずは世界的なインフレ傾向です。原材料費の高騰が今後の企業業績の足を引っ張るのは間違い無い情勢となってきました。
原油は高止まりしたまま、穀物価格も高い。
(参考)


(出所:世界経済のネタ帳)
また、人件費の高騰も企業業績を悪化させます。日本は例外的に賃金インフレは起きていませんが、海外では賃金インフレも起きています。

(出所:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)
日本の賃金はまったく伸びていないことがわかります。
物価が上昇しても賃金も上昇している海外はまだマシです。日本は物価が上がっても賃金が上がらないという不幸な状況であり、長引くデフレ病が治る兆しは見えません。
日本の状況は絶望的といわざるを得ず、緩慢な死を待つゆでガエルといったところです。
株価は業績悪化を予見する
インフレになれば当然金融は引き締められます。
市場では、FRBは2022年3月に利上げをするという見方が支配的であり、ゴールドマンサックスは年内に7回利上げを実施すると見ています。
金利が上がれば企業の金利負担が増して企業業績の足かせとなりますから株価の下落要因となります。
現状、予想PERはアメリカが約19倍、欧州が約14倍、日本が約13倍とかなり低水準にあるわけですが、これは将来の業績悪化を見越しているに過ぎないと考えることができます。
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不気味な警告
ゴールドマンサックスでは、利上げが加速的に行われた場合、米国株、具体的にはS&P500が年内に3900、最悪3600まで下落する可能性があると警告を発しています。
現状のS&P500は4400弱であり、2割程度の下落はありうるといっているわけです。

NYダウでいえば28000ドル程度までの下落は覚悟しておかねばならないということになります。
そもそもコロナバブル以前はその程度だったのですから、ただ単に行って来いになるだけの話です。今後のウクライナ情勢や台湾情勢によっては、そこからさらに下落する可能性もあり警戒が必要です。
また債券についても今後の金利上昇による価格下落に備え、ポジションを下げるよう警告しています。債券は金利が上がり切ったところで買えばよいということであり、現状はキャッシュを多く持つことを推奨しているというわけです。
金融市場はリスクオンからリスクオフへの流れが加速しているようです。
最後に
格差が極大化しているアメリカにあっては、賃金上昇をともなうインフレは必ずしも悪とはいえない。
労働分配率が上がれば格差の縮小につながりますから。
以下は1995年と2016年の労働分配率を比較したグラフです(青いひし形が1995年)。

(出所:内閣府(赤枠加筆))
アメリカは世界各国に比べて労働分配率の低下が大きいことがわかります。これこそが米国株高の原動力の1つであったといえます。
労働分配率を上げて賃金上昇を目指すことは新自由主義からの脱却といえるものであり、アメリカではそれが実行されつつあるということです。
一方で新自由主義からの脱却を謳いながら岸田政権が何もできないのはまったく皮肉としかいいようがありません。
株価を上げたいのならば株式譲渡益課税強化などと発言するべきではなかったし、新自由主義からの脱却を図るのならば、賃金が上がるように積極的な財政政策をとるしかないのにどちらもやりそうもない。
一体何をしたいのかさっぱりわからないのが現岸田政権の姿です。合掌・・・。
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