あれだけクビ切りしておいて人手不足でお悩みとはいったい・・・

アメリカという国は日本から見ると理解しがたい面がたぶんにあります。まあ、アメリカ人から見た日本も同じことでしょうが。
コロナ騒動勃発時、アメリカはやたらと従業員のクビを切りまくり、失業率が異様に上昇しました。
それなのに今になって人手不足で賃金を上げなければ人が集まらないと嘆く。
それだったら最初からクビにしなければよいと思うのは、よく事情を知らない素人の戯言ということになるのでしょうか。
アメリカの雇用はジェットコースター
アメリカの雇用慣行がドライであることはある程度わかります。
しかし、コロナ騒動当初の人の切り捨て方はひどかった。さすが奴隷をアフリカから買った国だと改めて認識させられたのです。
労働者など所詮奴隷のようなものだという考え方は今に続いているものと推測できます。
それは以下の失業率の推移をみればよくわかるのです。

(出所:社会実情データ図録)
赤い線がアメリカなのですが、2020年にアメリカの失業率だけが途方もなく上昇していることがわかります。
いらなくなればポイ捨て。アメリカ社会のドライさは一目瞭然です。
しかし、ここに来て(2022年3月現在)、アメリカは人手不足で経済を回すのに苦しんでおり、賃金をアップして人をかき集めていますが、それでもなかなか集まらない。
そこにはいくつかの複合要因が絡みあっているのでした。
日欧とアメリカの文化の違い
2022年2月のアメリカの雇用統計によれば、労働力人口は5か月連続で増加中です。しかしそれでもなお、コロナ前を下回る。
日本やヨーロッパがコロナ前に戻しているのに比べてアメリカは雇用の回復が鈍いといえます。
要因として挙げられるのは、コロナ騒動で各国政府がとった対応の違いです。
日本やヨーロッパ諸国は企業への助成金を活用して雇用維持を図ったのに対し、アメリカは失業給付の上乗せという形で対応しました。
結果的にアメリカは雇用者と労働者の関係が断たれてしまい、いまなお元どおりになっていないということです。
移民ストップで労働力不足
その他にも要因があります。
コロナ禍の金融緩和で世界的に株価が上昇しました。そんな中、資産価格が上昇したことでアメリカでは早期にFIREをする人が増えたという要因があります。
また、ウイルス感染防止のために移民受入をストップした影響が大きい。
人手不足になっても、いままでは移民受入により、安い労働力を確保できました(現代版奴隷労働)。
しかし、コロナ禍でそれもままならなくなってしまいました。移民流入が200万人減少したというのですから、その影響ははかりしれません。
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賃金は上がっても・・・
賃金が上がってさぞ豊かになったかと思えばそうでもないのがまた皮肉です。
もちろん、人手不足で賃金は上昇しているわけですが、それでもインフレ率に追い付かない。
2022年2月の賃金上昇率は6.5%と1997年以降最高となった一方で、消費者物価指数は7.9%上昇し、購買力から見れば実質的には貧しくなっているというのが実態です。
最後に
アメリカも日本もコロナ禍で、労働環境に一番影響を受けたのは若い女性です。
育児負担の増加で職を辞さざるを得なくなったのが若い女性層というわけです。とりわけ非正規雇用でその傾向は顕著です。
それにしてもアメリカ型雇用慣行はあまりにドライすぎる。
人を人とも思わないようなクビ切りを日本は決して真似してはならないと考えるのです。
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