金利が上昇基調なのにJリートが堅調。いったいなぜ?

世界的に金利は上昇局面にあります。
それを如実に示しているのが円安です。日本はエネルギー、食料などを除いた物価は依然として下落基調であり、デフレからまったく脱却できていません。
そのため、金利を上げたくても上げられない。そんなことをしたらさらにデフレが加速するからです。
日本の金利環境
日銀は買いオペをして長期金利の上昇を抑えており、海外との金利差が広がっている。
円で置いておくより、相対的に高い金利で運用できる外貨で保有したほうがよいということで円安が進んでいるわけです。
しかし、一時期よりも日本も金利が上昇していることは確かです。
以下は日本の長期国債10年ものの利回り推移です。

1月以降、上昇傾向が続いていることがわかります。
なのにJリートが3月(2022年)に入り急上昇しています。いったいその要因はなんなのでしょうか。
Jリート、買いの主役
まずもって一体誰が買いを入れているのでしょうか。
海外の投資家が大幅に買い越しているという話があります。なぜなのか?
それは日本の金融機関の決算が3月末だからです。
新年度に入ると新たな投資資金の枠ができる金融機関が為替リスクを嫌って、Jリートを買うに決まっていると読んでいるのでしょう。
国内の金融機関が買う前に先回りして仕込んでおけば高値で金融機関が買ってくれる。そんな思惑があることは間違いないと思われます。
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Jリート、売りの主役
実際問題として2022年に入り、Jリートは急落しました。売りの主役は金融機関です。
損切りの売りが下げを生み、さらに損切りの売りが出る。この悪循環が2022年初頭の動きでした。
金融機関は総じて変化に弱く、同じ行動パターンを繰り返す。護送船団方式の思考回路がまだまだ完全に抜けきっていないのが日本の金融機関の実態です。
一言でいえば時代遅れなのです。
その弱みを逆手にとって徹底的に利用しているのが、一部の海外投資家であるといえるでしょう。
Jリートのファンダメンタルズ
実際問題としてJリートの主役であるオフィス需要を取り巻く環境は好転したとは思えません。
アフターコロナでも需要が戻らない可能性は高い。
皮肉なことに投資信託を運用する投信委託会社の大手であるアセットマネジメントOneはアフターコロナにおいても出社を抑制する方針で、東京一等地のオフィスを4割縮小するとのことです。
緊急事態宣言下では出社率を2割以下とし、現状でも5割を上限とし、コロナ後も現状を維持する方針です。
同社は通信環境の整備を行って、リモートでも業務が円滑に進むようにしたのです。
このような事例は枚挙にいとまがない。
当然オフィス需要の減退は必至であり、ファンダメンタルズから考えれば、Jリートの高値追いは危険であると言わざるを得ません。
最後に
上記の情勢を考慮にいれれば海外勢のJリート爆買いは長期投資であるとは思えません。
過度な円安もいずれは振り子が戻る。そうなれば、Jリートの値上がりに加えて、為替差益を得ることもできる。一粒で2度おいしい戦略をとっていると考えられます。
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