野村証券の新手数料体系。足を引っ張る者もいる

顧客の損得などおかまいなしで、とにかく頻繁に売買をさせて、手数料を頂戴するというのが従来型の証券会社の姿でした。
大手証券の営業マンなどは数年でどこかに転勤となる。
その間にいかに顧客から手数料をふんだくるかが出世の成否を決めてきたといってよい。何人の顧客を殺したか(実際に殺すのではなく経済的な死を意味する)が自慢話となるほど腐敗していた業態といえます。
しかし、そんな鬼畜商売から、いよいよ本格的な脱皮が始まっています。
ガリバー動く
証券業界のガリバー、野村証券が2022年4月から顧客から徴収する手数料の形態を全国店舗で変更したといいます。
2021年に試行していた手数料体系をいよいよ全国展開したというわけです。
新しい手数料体系は一定レべルの富裕層にのみに適用可能となります。顧客は従来型の体系か新体系かを選ぶことが可能な仕組みです。
新手数料体系のイメージ
新手数料体系では、顧客の保有する資産の種類と残高に応じて決まります。
安全資産で長期保有を前提とした債券中心の運用であれば手数料は低く、リスク資産の割合が増えれば手数料率が上がるといった具合です。
手数料率は最大でも年率1.65%(税込)になるということです。
イメージとしては投資信託の信託報酬や、ロボアド投資の手数料といった感じです
顧客との利害が一致するメリット
新しい手数料体系の良い点は、顧客と証券会社の利害が一致することです。
顧客が儲けて資産を増やしてくれれば、自然に証券会社の手数料も増える。強引な手法で回転売買をさせる必要もなく、義理人情のお涙頂戴ビジネスをしなくてもよい。
いままで証券会社が株屋などと言われてある種蔑まれていたのは手数料をかすめ取るだけの虚業であったからでしょう。
顧客の損は会社の利益、では世間の信用を得られるわけがない。
遅きに失した感はあるものの、野村証券の取り組みは評価できるものでしょう。
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足を引っ張る者もいる
しかし、新しいことをやると足を引っ張る者が出てくるというのは日本の風潮です。いわゆる出る杭は打つです。
なんとこの取り組みを注視しているのが金融庁だというのですからおったまげる。
顧客本位の業務運営などを金融機関に求めてきたくせにです。
具体的には、新手数料体系の下、営業マンのアドバイスが顧客の投資判断に影響を与えるならば、投資助言・代理業に該当するのではないかと疑念の目を持っているというのです。
投資助言・代理業に該当すれば新たな法規制がかかるといいます。法の潜脱をしているのではないかと疑いの目を持っているというわけです。
最後に
金融庁はやることがチグハグ過ぎて金融業界を困らせているようにしか思えない。
スタンドプレーを行い目立つことが出世の条件になっているのではなかろうか。
それが顧客の迷惑につながるとしたら大問題なのであります。
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