経過措置適用の東証プライム銘柄の株価がさえない。需給関係悪化

2022年4月から東証の市場再編が実施され、馴染み深かった東証1部、2部などといった市場区分はなくなってしまいました。幾分寂しく感じるのは私だけでしょうか。
ところで、市場再編前からささやかれていたことですが、プライム市場の上場基準を満たさないにもかかわらず、経過措置を利用してなんとかプライム市場に残った企業の株価がさえません。
これには主に2つの要因があるわけですが、今後もすぐにその要因が取り除かれるとは思われないため、プライム市場の株式に投資するには注意を要することになりそうです。
プライム市場はスタートしたが
プライム市場の上場基準はいくつかあるわけですが、その中でも流通株式比率がプライム市場の基準を満たしていないにもかかわらず、経過措置でプライム市場に残留した会社の株価が低迷しています。
市場で流通する株式の比率を35%以上にしなければならないのですが、上場企業の子会社で親会社の持株比率が高い会社、あるいは創業者の持株比率が高い会社などでは35%に満たない会社があります。
暫定プライム銘柄の株価さえず
例えばオプティム(3694)という会社です。
こちらは流通株式比率が26%ほどとなっているわけですが、2021年9月以降の株価の推移は日経平均を大きく下回ります。
その他にも代表的な会社として、オリコ(8585)や住友理工(5191)などがあります。いずれも日経平均のパフォーマンスを大きく下回っています。
以下は直近半年の上記3銘柄と日経平均の動きを比較したものです。

いずれも日経平均を動きを大きく下回っていることがわかります。
(要因その1)株式の需給悪化懸念
これらの企業の株価がふるわない要因の一つとして挙げられるのは、将来の需給悪化懸念です。
流通株式の比率を上げるには、創業者や大株主の持ち株を放出してもらうほかありません。
売りが大量に出ることが想定されるわけで、需給悪化による株価下落が予想できます。それを先取りした株価下落が続いているわけです。
あるいはすでに市場に売りに出されているために下落が続いているのかもしれません。
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(要因その2)TOPIX算出ルール変更
また、二つめの要因としてTOPIX算出方法のルール変更があります。
いままでは浮動株がTOPIX算出時の時価総額の基準となっていたのですが、ここから持ち合い株式が除外されることとなりました。
持ち合い株式の多い企業の時価総額は低く算出されることとなるため、TOPIXに占める比率は低くなる。
その会社がTOPIXの動きに与える影響は小さくなるため、TOPIX連動型の投資信託はそのような銘柄を売却せざるをえません。これが株価下落圧力になっています。
無理してプライム市場に残った銘柄には二重の苦難が襲いかかっているわけです。
投資家としては、プライム市場の銘柄に投資する際には、時価総額が100億円をゆうに超えているか、流通株の比率が高いかを見極めてから投資しなければならない。
さもないと単に需給関係というテクニカルな要因だけで損失を被る可能性があるため、注意が必要でしょう。
疑似バフェット指標(2022年3月末)
3月は決算期であるがゆえに忙しかった人も多いはず(私もその一人)。そして気が付けば3月も終っていたのでした。
月例の疑似バフェット指標で現状の日経平均の居所を確認しておきます。
(疑似バフェット指標についてはこちらをご覧ください。)

投資家のすそ野が広がっている現状では、大暴落は考えにくい。しかし、日経平均27000円台は割高といわざるを得ないというのが個人的見解です。
依然としてゲリラ的な選別投資を続けざるを得ない環境にあると考えます。
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