アメリカの経営者は有能で日本の経営者は無能なのか(その2)

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デービッド・アトキンソン氏によれば日本の経営者は奇跡的に無能なのだそうだ。

ずいぶんと侮辱されたものだが、本当にそうなのだろうか。実に疑わしいところなのです。






弱くなる日本だけしか見ていない


アトキンソン氏がそう主張するのは1990年代以降の日本の状況だけを見ているからに違いない。

アトキンソン氏が来日したのは1990年代のことであるし、年齢的(1965年生まれ)にも日本の高度成長期にはまだただのガキであったからです。

確かに1990年代、とりわけ1990年代の後半以降の日本経済は厳しい状況に置かれ、大手金融機関の倒産が相次ぐなど、日本が凋落を始めた頃でした。

一方で、アメリカの企業の業績は好調で株価も順調に上昇しており、日本の経営者が無能に見えたのでしょう。しかし、本当のところはアトキンソン氏の経済学的知見が無能であったため、おかしな分析に至ったといえそうです。

10年で有能者が一気に無能に?


時代を10年だけずらしてみただけでそれはわかる。

1980年代のアメリカは70年代のスタグフレーションの苦しみを克服するため、インフレを抑制するためにマネーストックを増加を抑えました。

具体的に行われた政策は政策金利の引き上げです。1980年春にはなんと17%にも達しました。

これにより景気はさらに悪化し、失業率は5.9%から9.6%にまで急上昇。

1980年代のアメリカの労働生産性の向上率は年率で1.4%にとどまることになりました。

同時期の日本の労働生産性の伸びは3.8%におよびます。

アトキンソン氏の立場に立てば、1980年代のアメリカの経営者は奇跡的に無能となるわけですが、わずか10年で一国の人間が有能になったり無能になったりするものなのでしょうか。

そんなことはありえません。

以下は1980年から2000年にかけての日米の経済成長率の推移です。

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(出所:世界経済のネタ帳)

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無茶苦茶な論法


アトキンソン氏はマクロ経済学の知見不足から企業数を減らして供給量を減らせばデフレを止められるというわけのわからない結論を導き出します。

需要を増やさず、供給量を減らせばGDPは減り、国民はますます貧困になります。

雇用が減って失業者が増えればデフレが解決できると言っているに等しく、直観的におかしいことに気が付くはずです。

失業者がゴロゴロいて、景気良くなるわけないだろ~。自殺者が増えるだけです。

最後に


アトキンソン氏の主張に従えば、日本はますますデフレから立ち直れなくなる。

氏の言葉を借りれば、〇〇こそが奇跡的に無能だということになるのでしょう。アトキンソン氏を重用していた菅政権が短命に終わったのは日本経済にとっては救いだったというほかありません。

もっとも岸田政権にも期待はできないのが悲劇的ではあります。

結局のところ、一国の経済を動かすのはマクロ経済政策にあり、個々の経営者にその原因を求めることはできません。日本は30年近く、政策を誤り続けているといえるのであります。

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