マクロ経済学の公式を見れば日本がやるべきことは明らかなのに・・・

世の中には道理ってものがあります。経済学もまたしかりです。
しかもそれはそれほど難しいものではない。小学生でもわかる公式なのです。
そしてそれを知れば日本のGDPが成長しない理由もわかるし、成長させるには何をすればよいのかもわかります。
しかし、なぜか行動しないのが日本政府なのですから理解不能としかいいようがありません。
簡単な公式
マクロ経済は以下の公式で成り立っています。
Y(GDP)=C(消費)+I(投資)+G(政府支出)+EX(輸出)-IM(輸入)
実に簡単な式です。
ここから、日本がバブル崩壊後のデフレ経済の中で何をすべきだったのか、何をしてはいけなかったのか、また今後何をすべきで何をすべきでないかもわかります。
人口減少とデフレの関係性の嘘
一つずつ見ていくことにします。
まずはC(消費)です。
日本は少子高齢化で人口が減少しているのだから消費が低迷してデフレになるのは仕方がないなどともっともらしい嘘をつく人がたくさんいます。
常識の中には嘘がたくさん散りばめられていますから騙されないようにしなければなりません。
日本の人口のピークは2010年前後でした。

(出所:社内実情データ図録)
ところが日本のデフレは1990年代後半から既に始まっています。

(出所:ニッポンの数字)
人口減少が本当にデフレの原因であるならばデフレはもっと遅くから始まっているはずです。
バブル崩壊後のデフレ状況にもかかわらず、日本は消費増税を3回も繰り返しました。
消費税が上乗せされれば消費が減るのは当たり前。C(消費)の減少はY(GDP)の減少要因であり、消費増税をデフレ期に行うことは、風邪を引いているのに乾布摩擦をするに等しい愚行です。
デフレがもたらしたものは失業者の増加と自殺者の増加です。
以下は自殺者数の年次推移です。

(出所:ニッポンの数字)
消費増税を進めたのはいったい誰なのか。
悪夢の民主党政権下(当時は野田政権)の2012年、社会保障と税の一体改革という建前で、民主党、自民党、公明党の3党合意により、消費税増税法案が可決してしまいました。
いったいその戦犯は誰なのでしょうか。
消費増税を裏で画策したのが財務省、手玉に取られたのが民主党ほか自公であったのは明らかであり、この4者そして後述の日本銀行が現在まで続く経済低迷のA級戦犯であることは疑いようがありません。
自殺者を増加させた間接殺人官庁および政党と言って差し支えないでしょう。
野田佳彦元首相は2021年10月11日に自身のホームページのかわら版とやらに以下のとおり主張しています。
(一部抜粋)
そして、子や孫の世代への責任についても、併せて語るべきでしょう。私は、コロナ後にプライマリーバランス黒字化を実現するための中長期計画を策定すること。現実的な推計や提言をするため、政府から距離を置く「独立財政機関」を設置すること。異次元緩和により政府の打ち出の小槌化した日銀の金融政策を正常化すること。これらは最低限公約に掲げます。
異常な放漫財政に立ち向かい、「オオカミ」少年と呼ばれても財政規律を訴え続けます。将来世代のために外れたワニのあごを元に戻すことが、私の使命です。(引用終わり)
そして、子や孫の世代への責任についても、併せて語るべきでしょう。私は、コロナ後にプライマリーバランス黒字化を実現するための中長期計画を策定すること。現実的な推計や提言をするため、政府から距離を置く「独立財政機関」を設置すること。異次元緩和により政府の打ち出の小槌化した日銀の金融政策を正常化すること。これらは最低限公約に掲げます。
異常な放漫財政に立ち向かい、「オオカミ」少年と呼ばれても財政規律を訴え続けます。将来世代のために外れたワニのあごを元に戻すことが、私の使命です。(引用終わり)
反省のかけらもない。自分が一体何をしでかしたのかまるで理解していないのでしょう。こんな人間がいまだ政治家を続けていられるのですから日本が成長しないのは当たり前です。
企業の合理的行動による投資縮小
続いて、I(投資)です。
これは消費と密接に結びつくとともにG(政府支出)ともおおいに関連があります。また外国為替相場の急激な変動(円高)とも関係が深い。
消費が低迷すれば企業が投資をしなくなるのは当たり前です。何しろ需要が増えないのに設備投資をしても仕方がない。むしろ遊休設備が発生してしまい、処分したほうがよいという結論に達します。
以下は企業の設備投資の年次推移と示しています。

(出所:ニッポンの数字)
デフレとともに設備投資が減少したことがわかります。
これは企業にとっては極めて合理的な行動であり、生き残るためにはそうせざるを得なかったと考えられます。
しかしながら、I(投資)の減少はY(GDP)の減少要因であり、国民を貧しくさせてしまうこともまた事実です。
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政府は責任を果たすべき
上記のとおり、バブル崩壊後、C(消費)とI(投資)に大きな減少圧力がかかりました。
この減少を埋め合わせるには政府の財政拡大により、G(政府支出)を増大させる必要があります。
しかし、実態はまったく逆でした。民間消費や投資と足並みをそろえるように政府までもが公共事業を減らしてしまったのです。

(出所:社会実情データ図録)
合成の誤謬という罠から抜け出すには政府が最大の役割を担わねばならないところ、政府はその責任を放り出しました。
こうなるともはや救いがたいということは誰の目にも明らかでしょう。
国内製造業の強化が不可欠
残る手段は、EX(輸出)を増やし、IM(輸入)を減らすことしかない。しかし、貿易収支がGDPの成長率に与えるウェイトは5%程度であり、その影響は小さいのが実際のところです。
ところで輸出競争力を高めるには円安が効果的です。
しかし、バブル崩壊後、実際には円高が大きく進んでしまったというのが現実です。

2011年には1ドル70円台にまで突入してしまいました。
輸出関連企業は採算が取れなくなり、工場の海外移転を進めることになります。そうなれば当然、EX(輸出)は減り、逆輸入が増えてIM(輸入)が増える。
これまたY(GDP)の減少要因となります。
とりわけひどかったのはリーマンショック後の日本銀行の無為無策です。
各国の中央銀行がマネタリーベースを劇的に増やして景気回復を図ったのに、日本銀行はほとんど何もしませんでした。

(出所:国家ビジョン研究会)
結果的に日本円の希少価値が高まり急激な円高が進みました。当時の白川日銀はまったくの無能であったといえます。
その点、黒田日銀は過去にとらわれない異次元金融緩和により過度な円高からの脱却を図った点で大いに評価されるべきでしょう。
GDPを増加させる方策
整理して考えるとわかりやすい。
日本経済が立ち直る(Y(GDP)が増える)ための方策が自ずと見えてくるのであります。
まず、C(消費)。
消費を増やすには消費への罰金ともいえる消費税を減税するのがもっとも効果的です。
そして、I(投資)。
投資減税の拡大により投資を加速させる政策をとるべきです。しかし、大前提として消費が増えなければどうしようもない。減税されても需要がなければ結局無駄になるだけだからです。
さらにG(政府支出)。
エネルギーや食料を除いた消費者物価は依然としてデフレ傾向が続いています。明らかに需要不足なのです。
民間の需要不足は政府が埋めるほかない。積極的な財政支出により需要を創り出してデフレからの脱却を目指さねばどうしようもない。
財務省の抵抗は政治家が押さえつけなければならない。政治家の存在価値が問われているといえます。
また、EX(輸出)を増やすには、海外(とりわけ中国)に進出した企業を日本に呼び戻すほかありません。そのための補助金を政府は惜しみなく拠出すべきでしょう。
日本の製造業の復活無くして日本経済の復活はないといえます。
最後にIM(輸入)。
日本は資源がないだけに、資源を輸入して加工し、海外へ輸出することで競争力を保ってきました。しかし、昨今の資源高と、東日本大震災以降の原発稼働の過度な抑制により貿易赤字の月も目立つようになりました。

(出所:世界経済のネタ帳)
製造業の国内回帰のための補助を国が行うこと、そして安全な原発の再稼働により、EX(輸出)が増え、IM(輸入)が減ることでY(GDP)を増加させることができます。
やるべきことはわかっているのにやらないのは政治家に不作為の罪があるとしか思えません。
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