世界的な企業業績の急ブレーキ。先行きに暗雲立ち込める

雲

2022年1月~3月期、世界の主要企業の業績は前年同期比でわずか2%の増益にとどまりました。

2%でも増益ならばいいじゃないかっ!というお叱りを受けそうなのですが、重要なのはその方向性です。

2021年10月~12月は前年同期比で6割の増益だったのです。それがここに来て急ブレーキがかかりはじめました。いったい何が原因で今後どうなるのでしょうか。






増益ぺースが急停止


これで6四半期連続前年同期比を下回る業績となりました。しかも直近は一気に下落幅が大きくなっています。

なにしろ2022年に入りいろいろありすぎました。

まずはなんといってもロシアによるウクライナ侵攻です。資源価格の高騰が企業のコスト負担を増大させ、一部の資源産業を除き、業績は概ね低調といえます。

この影響で特に落ち込んだのは金融株です。ロシア関連で多くの引当金計上を余儀なくされ、業績を圧迫しています。

巣ごもり消費の反動安


また、まだら模様の新型コロナの影響も大きい。

欧米ではいち早くアフターコロナに突入し、平常な生活に戻りつつあります。それにともなって生活様式がコロナ前に戻りつつある。

そして、巣ごもり関連銘柄は一転不調となりました。

典型例がNetflixでしょう。会員が減少に転じ、株価も大幅に下落。コロナバブルのメッキは剥げ落ちたといってよいのではないでしょうか。

サプライチェーンの分断


一方で、アジアにはアフターコロナがなかなかやってこない。

中国のロックダウンは長期にわたり、中国の工場の稼働率が低くなっています。これによりサプライチェーンが分断され、工業生産にボトルネックが発生しています。

部品が手に入らないために製品を作りたくても作れないといった企業がたくさんあり、企業業績の回復を抑えているのです。

被害は欧米のほうが圧倒的に多いのに、アフターコロナでは欧米が先行しているのは摩訶不思議な現象に見えます。

国民性なのか、民族性なのか、はたまた遺伝的な思考パターンの違いなのか・・・。理由は不明です。

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(出所:社会実情データ図録)

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あまりにも早い利上げペース


懸念材料はまだあります。アメリカの利上げピッチの速さです。

2022年5月4日のFOMCでFRBはFF金利を一気に0.5%引き上げました。FRBは6月と7月にも同様の利上げを示唆しており、金融の引き締めが急ピッチで進みそうです。

また、アメリカも日本同様、長期金利の上昇を防ぐため、FRBが大量に米国債券を買ってきたわけですが、今後は保有資産を放出していく予定であり、短期長期ともに金利は大幅に上昇しそうです。

金利が上がれば企業の設備投資は鈍り、景気は悪化する。

不景気とインフレが共存するスタグフレーションに突入している状況といえます。

最後に


逆業績相場においては通常、金利は下がるのが常識なのですが、今回はその常識が当てはまらない。

しかし、アメリカが金利をどんどん上げていく中でも、依然として経済低迷の日本は金利を上げられないのですから、円安はまだまだ進みそうな気配です。

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