金融庁に垣間見える、思考停止でアメリカの犬と化した日本

今年(2022年)4月から東証再編により、東証1部、2部、マザーズの区分が無くなり、プライム、スタンダード、グロースの3市場区分となりました。
東証1部にふさわしくないような銘柄が日本の最上位市場に居続けるような状況からの脱皮を図る目的であり、より市場区分の選別を明確化させたといってよいと思います。
プライム市場は時価総額が大きい銘柄が多く、海外からの投資が多くなるのは当然のこと。
そこで有価証券報告書の英文開示が求められているというのですが・・・。
負担が大きい英文開示
プライム市場へ移行した企業のうち、有価証券報告書の英文開示を行っているのはおよそ14%となっております。まだまだ少ないのが現実です。
なにしろ量が膨大であり、英文開示への負担は大きい。
海外が主市場である銘柄はともかく、日本国内を主市場にしている企業は英文開示の意義に疑問を感じることもあろうかと推測します。
すでに一定の対応はしているのに・・・
しかし、英文でも開示がなされていないわけでもない。
決算短信については実に7割以上の企業が英文でも開示を行っています。
先日、四半期報告書が取引所の短信と重複しているということで今後廃止になるといった方向性が打ち出されたのと同じです。
決算短信を英文で開示しつつ、有価証券報告書も英文で開示するとなれば同時進行的に業務を遂行せざるを得ず、企業に重い負担がかかることはわかりきったことです。
外圧に弱い官僚主義
ところが金融庁は海外投資家に慮って、有価証券報告書についても英文開示を義務化していく考えのようです。
確かに外国人投資家の比率が高まっているのは事実。日本の上場株式の約3割は外国人によって保有されており、外国人投資家から英文開示が求められているという側面があるのでしょう。
プライム市場に上場している企業には英文開示を必須とすべきという意見が金融庁から相次いでいるのは外国人投資家からのプレッシャーによるものに違いありません。
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金融庁=スネ夫の図式
しかし、ちょっと待ってほしい。
日本人だって、アメリカ株に多く投資しています。しかし、日本の投資家がアメリカの企業に日本語での開示を求めるなんてことはあり得ません。
対等な立場なのになぜ日本企業だけが英語でも開示しなければならないのか?
それは企業が決めることであって、海外の投資家に株を買ってほしい企業は英文開示を積極的に行えばいいだけの話ではなかろうか。
あるいは日本の企業の株式を買いたい人は自分たちで英語に訳せばよいでしょう。
金融庁がしゃしゃり出てくる話ではありません。
そんなことを言うならば、金融庁はアメリカ当局に、アメリカの上場企業に日本語開示を求めるべきではないでしょうか。日本の投資家を保護する観点からすれば当然の話です。
最後に
日本の企業には言いやすいから上から目線で弱い者いじめをしているのが現在の金融庁だと言ってよい。
強い者には弱く、弱い者には強いという典型的な嫌な奴(=スネ夫)と同じなのです。
海外の投資家から英文開示を求められているなら日本語での開示も求めるべき。それが平等な相互主義ってものでしょう。
官僚のみならず日本人には負け犬根性がしみ込んでしまっており、これは大いに正すべき問題であると感じる今日この頃なのです。
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