楽天、財務悪化で子会社上場益の獲得目指す。楽天モバイル後遺症

先日、料金プランの改悪が発表され、ライトユーザーから見切りを付けられてしまった楽天モバイル。
赤字がかさんで、背に腹は代えられぬといったところでしょうが、料金プランの改定だけでこの苦境を乗り越えられないと踏んだのでしょう。
子会社を上場させて、上場益をゲットして財務基盤を少しでも安定化させようという動きに出ているのが今の楽天の現状です。
楽天モバイルの誤算
楽天モバイルにとって誤算だったのは、携帯電話の料金がここ2、3年で劇的に下がったことでしょう。
以下は各国のシェア1位の携帯事業者のデータ容量別の価格推移です。

(出所:総務省)
日本の棒下げぶりがよくわかります。ガースー効果にほかなりません。
楽天モバイルは携帯電話事業参入時にこのような事態を想定していなかったに違いないと推測します。
新規参入組はさらなる価格訴求力がなければ顧客を獲得できません。しかし、それでは儲からないというジレンマに陥るわけです。
株価は将来の不安を表す
なりふり構まぬ楽天の三木谷氏が考え出したのはデータ使用料1Gまでは無料というワンプラン。またデータ容量は無制限で定額というのも売りでした。
要するに、ライトユーザーにもヘビーユーザーにも受け入れられる価格プランを打ち出したというわけです。
しかし、それが長く続かなかったのはご存じのとおりです。
ライトユーザーからすれば裏切られた気持ちになるのは当然のところ。それだったら、もっと安定した通信環境を持つMNOやMVNOに移りたいという感情が湧き上り、顧客は逃げ出しているというのが現状の楽天モバイルが置かれた状況です。
これで無制限で定額という売りも無くなれば、もはや楽天モバイルに存在価値はなくなったといえるのではないでしょうか。
それは百も承知の三木谷氏はさらなる値上げはないと言っておりますが、当てになるかどうか・・・。
失望は株価へ如実に反映されているようです。携帯料金のプランの値上げとは反対の値下がりぶりが目立ちます。

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子会社上場で時間稼ぎ
もはや待ったなしといったところなのか。楽天は子会社の上場を急いでいます。
なにしろ楽天の財務基盤は弱っており、長期債の格付けは投資不適格とされるBB+・・・。そこでまずは楽天銀行の上場準備が進められているというわけなのです。
そして、2022年5月24日には楽天証券の上場準備を始めるとの発表があったのでした。
一時期はM&Aでの売却も噂されていた楽天証券ですが、上場後も子会社として維持していく方針のようです。
楽天グループにとっては金融事業は虎の子。楽天銀行と楽天証券を合計した純利益は300億円にも達します。
楽天モバイルの赤字をなんとか既存の楽天市場や金融事業で埋めていくほかない。時間稼ぎが必要というわけです。
最後に
人口カバー率96%といっても、アンテナの密度が低く、つながらないといった声も多い。今後もさらなる設備投資が必要なのは間違いありません。
楽天モバイルから一時的に顧客が離れるのは仕方がない。金にならない顧客は切り捨てざるを得ないのでしょう。
今後はヘビーユーザーをどこまで取り込んでいけるか。そこに楽天の将来がかかっていると思います。
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