極度の人手不足なのに賃金が上がらないという異常な業界

サーバー

最近やたらと聞くのがデジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉。

要はIT化のことですが、言葉を変えただけでなにか新たなトレンドが生まれたかといえばそうでもない。

人手不足の進展やテレワークの常態化により必然的にITの力を借りなければ業務が回らなくなったので、IT技術に頼るしかないというのが現在の状況です。

IT技術者は引く手あまた。当然賃金も急上昇しているかと思えばそうではないというのですから首を傾げざるを得ないのです。






IT産業、人手不足に悩む


IT産業における技術者の人手不足は異常で、深刻な状況に陥っています。

大手転職情報会社によれば、IT技術者の新規求人倍率が10倍を超えたというのです。

コロナ禍前は3~5倍程度であり、ここ2年半で倍以上の水準に跳ね上がりました。人手が集まらないのです。

そこには報われないIT技術者の悲哀が隠されているのです。

報われない報酬


なぜ人が集まらないのか。理系離れという要因もあるのでしょう。

それ以上に大きな要因はずばり賃金です。

IT技術者は過酷な労働の割に賃金水準が低いのです。

以下はIT人材の給与水準の一例です。

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(出所:経済産業省)

人手不足で過酷な労働を強いられるのに給与はほかの人と変わらない。下手したら下回る。これでは人が集まらないのは当たり前でしょう。

市場原理が機能せず


大手転職情報会社によれば2021年のIT技術者の平均年収は438万円となっており、しかも2019年よりも4%減少しているというのですから驚きです。

原油や食料は供給が減れば値が上がる。しかし、IT技術者は供給が減っても値が上がらない。

市場原理がまったく働いていないということです。

アメリカではIT技術者の年収の中央値は全職種の中央値を10%程度上回っていますが、日本では中央値よりも2%程度下回っているのです。

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若者から敬遠される理由


日米のIT人材の年代別年収推移を見ると日本は依然として年功序列型賃金形態であることがわかります。

20220601ITkyuyuyo2.jpg
(出所:経済産業省)

アメリカでは現役バリバリの30代がもっとも稼いでいるのに対し、日本は黄昏どきの50歳がもっとも稼いでいることがわかります。

プロ野球でいえば現役バリバリの選手よりも監督やコーチの方が稼ぎがいいといったところです。

これでは若者から敬遠されるのもわかろうというもの。苦労の割に報われないのですから。

最後に


日本がDXを進めるうえでもっともボトルネックとなっているのが人手不足です。

このままではIT分野でもますます日本は世界各国から遅れを取ることになりそうな気配がプンプンとしてくるのです。

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