LCAという新たなルールでEU諸国がアジア諸国を追い込む

ヨーロッパ諸国は概して失業率が高い。とりわけ若年層にその傾向は顕著です。
中国をはじめとする新興国やEUに流入した移民との競合で労働市場は悪化。また、解雇規制がアメリカほど緩くないため、簡単に中高年労働者のクビを切ることもできません。
そのしわ寄せは若者にいくというわけです。しかし、我慢も限界といったところなのでしょうか。
ヨーロッパ諸国は産業のルールを変え、いままでの借りを返そうとしています。
EU諸国、挽回策を探る
以下は若年層失業率の推移を示しています。

(出所:社会実情データ図録)
相対的にヨーロッパ諸国の失業率が高いことがわかります。若者の失業率が高ければ社会は荒むし、将来も暗い。
このままではマズイってなわけで、EU諸国はなんとか起死回生の挽回策を模索しています。
経済活動のルールを変え、なんとか有利な立場に立ちたいと考えているわけです。
自動車産業に仕掛けられた罠
その代表格が自動車産業だといえます。
最近つとに電気自動車の話題が出るわけですが、その下地を作ったのはEU諸国だと見て間違いありません。
地球温暖化防止という錦の御旗を掲げ、自動車業界のルールを変えようとしています。
もちろん自分たちの有利なルールへのチェンジに決まっています。
新たなルールでゲームチェンジ!
EUが新たに打ち出してきたルールがLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)なる概念です。
これまでは自動車の走行時にどれだけCO2が出るかを環境保護の基準としていました。
それでは不十分であり、部品の製造や組み立て、走行時はもちろんのこと、廃棄時まで考慮してCO2をどれだけ出すのかを評価基準にしようというのがLCAです。
バッテリ―生産とアジア諸国
電気自動車(EV)はもちろん電気で動きます。それを蓄えるのがバッテリーであり、考え方はスマホとなんら変わりません。電力の規模が違うだけです。
そのバッテリー、現在シェアを独占しているのは、中国、韓国、日本となっています。
ところが、バッテリーを生産するときにはものすごい量の電気が消費され、化石燃料への依存度が高い中国、韓国、日本はLCA的にいえば劣等生ということになります。
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EUのバッテリーはきれい!?
その点、EUは国にもよりますが、化石燃料にほとんど頼っていない国があります。
例えば北欧諸国やフランスです。北欧諸国は水力発電と原子力、フランスは原子力が占める割合が極端に高い。
(参考)

(出所:電気事業連合会)
要するにLCAの基準によれば、中国や韓国、日本で作ったバッテリーは環境に厳しい汚れたバッテリーだということになってしまうのです。
その点、EUの場合は北欧やフランスでバッテリーを作ればLCA的にきれいな優秀なバッテリーだということになります。
巨額の関税でブロック経済化
汚れたバッテリーには巨額の関税をかける。これは環境保護という錦の御旗のもとでは、なかなか逆らい難い。
高い関税によるブロック経済の出来上がりで、バッテリー市場を中国、韓国、日本から奪い取り、EV市場の覇権を握ることができるというわけです。
最後に
落ち目となったEU諸国はルールチェンジで再び復活を遂げようとしています。
そのためにSDGsやESGなどという考え方を取り入れ利用しているに違いない。SDGsのカラフルなバッヂを付けて良識人ぶっている人などはEUの罠にまんまとはまって喜んでいる間の抜けた人ということになります。
世界は欺瞞に充ちている。気をつけないとあっという間に足をすくわれるのであります。
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