日本の投資信託に見られる特有の問題点は何か

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世界的な投資信託の買付コストと保有コストの低下傾向、そしてつみたてNISAに見られるような若年層投資家の拡大などにより日本の投資信託市場も一筋の光明がさしてまいりました。

しかしながら、まだまだ道半ばといったところです。

日本の投資信託市場には特有の課題や問題点がいまだ残されており、それらを解決していくことで、ますます投資家にとって魅力的な市場となることは間違いございません。






日本の投資信託市場


少々古いデータ(2017年)となりますが、日本の投資信託市場は世界的に見てどのような立ち位置にいるのか確認しておきましょう。

日本における人口1人あたりの投資信託保有額は約88万円ほどになっています。

これは世界の主要国と比べてどうなのか。

アメリカは1人あたり約766万円であり、日本の約9倍にもなります。イギリスは約327万円、フランスは約402万円、ドイツは約63万円となっています。

ドイツは国外でファンドを設立する外国籍のファンドに投資することが多いため、実際にはこの2倍以上であると推定されます。

いずれにせよ、日本の投資信託市場はまだまだ未熟であり、成長の余地が大きいことは疑いようがありません。

日本市場の出遅れ感


衝撃的なのは、投資信託の保有額の伸びが日本は著しく小さいことです。

1989年と2017年を比較すると、日本は1人あたり48万円から88万円にしか増えていませんが、アメリカは57万円から766万円へと13倍以上増えている。

イギリスも24万円から327万円と13倍以上、フランスは76万円から402万円、ドイツは12万円から63万円となっています。

いずれにせよ、日本とは比べ物になりません。

まあ、日本はバブル崩壊という特殊要因があったため、一概に比較することはできないことは重々承知していますが・・・。

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日本の投資信託の問題点


日本ではバブル崩壊の影響で、投資に対するアレルギーが広がったことは間違いありません。

しかし、日本の投資信託が伸びない要因として、バブル崩壊だけでは説明しきれない課題や問題点が残されています。

具体的には以下のような点です。

・新商品の設定が多く、新商品に偏った販売がされている。その結果、零細ファンドが多数生まれ、放置プレー状態となりがちである。

・投資家の平均保有期間が短く、長期投資が根付いていない。

・若年層投資家がまだまだ少ない。

・投資信託の運用を行っている委託会社の多くはどこかの金融グループに属しているケースが多く、経営上あるいは運用上の影響をグループ会社から受けやすい。

以下は日米の投資信託のファンド数と1ファンドあたりの残高兵器の推移です。

20220612fund.jpg
(出所:金融庁)

日本はファンドの規模が小さいのに、ファンド数ばかりが右肩上がりで増えてきたことがよくわかります。

最後に


上記のような課題も少しずつ改善の兆しが見られることは救いです。

しかしながら、最近の金融行政を見ていて感じるのは投資家本位の改善がなされていないということです。

金融庁の自己満足的なマスターベーションにより、投資家は振り回されているといってよい。

NISAの改悪などが典型でしょう。

2024年より複雑怪奇な制度として再スタートするようですが、これが投資家本位とは思えません。NISAの恒久化など、より効果的な制度改正をしていただきたいと願うのは小生だけではないと思います。

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