IPO時の値付けがより柔軟に。IPO企業は歓迎、果たして投資家は?

株式新規公開(IPO)時の公募価格の値決めについて、公正取引委員会が問題視していることは既報のとおりです。
(関連記事:IPOで大儲けはもう無理。IPO宝くじ抽選会の終焉)
そして、その改善策がいよいよ具体化してきました。
なるべく多く資金調達するために、公募価格はできるだけ高い方がいいという会社側と、なるべく安い株価で手に入れて上場後のキャピタルゲインを得ようとする投資家は利益相反の関係にあるといえます。
さて、どのような変更案が考えられているのでしょうか。
IPOのジレンマ
IPO時の株式公募価格の値決めの方法が大きく変わりそうな気配です。
公正取引委員会より、公募価格が実勢価格よりも安く抑えられているのではないかという指摘を受けたのがきっかけです。
公募価格が高くなれば、新規上場企業はより多くの資金調達が可能となり、設備投資などにより多くの資金を回すことができるようになります。
一方で、IPO投資家にとっては公募価格に割安感がなくなるということですから魅力が減ることとなります。
バランスが取れた改善策とならねば新規上場時に公募株が売りさばけないという事態も起こり得ます。
そうなれば、幹事証券が売れ残りの株価変動リスクを負うことになります。
新しい資本主義の目玉がこれでは・・・
岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の目玉は起業の促進だといいます。いかにもしょぼい・・・。
起業が大事なことはわかりますが、その規模からいって日本経済の柱となるような政策ではありません。
岸田政権は言うこととやることの乖離が著しく、しかもカメレオンのようにコロコロ変わって、まるで信用なりません。
以下は歴代内閣の内閣支持率推移です。

(出所:社会実情データ図録)
岸田内閣は一般庶民の受けは悪くないようですが、投資家など経済に詳しい人間からすればまったく評価できないというのが大方の見方ではないでしょうか。というか理解不能・・・。
ところで、IPOに関するルールはどのように変わっていくのでしょうか。
IPOの実務を司る日本証券業協会は2022年中に、2回にわたりルールを見直していくといいます。
証券会社との力関係に変化
第一弾としては2022年6月中にも改正が予定されていることとして、証券会社による公募価格決定に関する説明責任の義務化があります。
証券会社に対し、新規上場企業の株価の公募価格算定根拠を詳細に説明することを義務付けるものです。
今まではこれといった説明もなく、新規上場企業は証券会社の言いなりとならざるを得なかったところ、説明が義務付けられるというわけです。
これにより、証券会社の緊張感も高まりますし、上場予定会社としては納得感が深まるというメリットがあります。
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臨機応変な値決めも可能に
第二弾は2022年11月となる見通しです。改正の肝は、仮条件に縛られない公募価格の決定を可能とすることです。
これまではあらかじめ定められた仮条件(1株○○〇円~□□□円)の範囲内で投資家の需要を調査し、需要が多ければ、上限価格で決まるのが一般的でした。
しかし、11月以降は需要が大きければ、場合によっては仮条件の範囲を超えた値決めができるようになります。
IPOも厳しい環境
従来、人気銘柄のIPO抽選に当選すればほとんどのケースで上場時に売却すればキャピタルゲインを確保することができました。
しかし、今後はそれも難しくなりそうです。
ましてや市場環境は冷え込んでまいりました。IPOの数も減ってきています。
2022年前半のIPO数はわずか37社ほど。しかも現状で約半分の会社の株価が公募価格を下回っています。
今後しばらくは新規上場会社にとっては厳しい市場環境が続きそうな気配なのであります。
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